門真市・古川橋が変わる。1910年の京阪本線開通と同時に古川橋駅が開業。33年には松下電器の誘致に成功し、「家電城下町」として躍進を遂げる。高度経済成長期には、大阪・都心部に近接したベッドタウンとして発展し、住宅や商業施設が建設された。そして今、大きな転換期を迎えようとしている。

文化と学びの交流拠点
古川橋駅の北側に広がる約3㌶の広大な敷地で官民が一体となった大規模再開発が進行中。街の核となるのは、来年春に開業予定の「生涯学習複合施設」だ。かつて門真市立第一中学校があった「教育の地」が、幅広い世代が集う、「文化と学びの交流拠点」へと進化を遂げる。人々が交流し、光溢れる場所になってほしいとの思いから、公募により愛称を「KADOMADO」(カドマド)に決定。敷地面積3286平方㍍、延べ床面積7343平方㍍、地上5階の巨大な空間に、図書館、文化会館やカフェなどが収まる。蔦屋書店を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(東京都渋谷区)が運営予定者に選定され、毎日訪れたくなるような交流拠点になる場所づくりを目指す。
カフェ併設の図書館
文化創造図書館KADOMADOは、各階で異なったテーマを設けている。1階はオープンなエントランス空間で、併設するカフェのコーヒーを飲みながら図書館の本を閲覧することができるエリア。2階は多目的室などの文化会館スペースで、市民の文化活動を支援する。3階は集中した環境で読書や勉強ができ、デジタル機器を使ってプログラミングなどのクリエーティブな体験が可能に。4階はキッズエリアで、子どもたちが自由に工作やものづくりができるスペースを設ける。屋上にはさまざまな世代の人がくつろげる人工芝エリアを整備。1階から屋上まで建物周囲をらせん状に取り囲むテラス空間「スパイラルガーデン」によって、建物内外ににぎわいを生み出す計画だ。

交流広場と市初のタワマンも
同施設の南側(駅前)には、日常的な市民の憩いや交流、多様な活動が可能となるオープンスペースの交流広場も整備予定。また、地上41階建て、同市では初となるタワーマンション「シティタワー古川橋」(住友不動産)も建設が進んでいる。

門真市役所生涯学習課の担当者は「本市はルミエールホールを活動拠点とする関西フィルハーモニー管弦楽団とホームタウンパートナー協定を結んでいる。KADOMADOの開館により、古川橋全体にさまざまな相乗効果が期待できる。これからも多くの魅力的な文化芸術活動が展開される街を目指していきたい」と話している。
文化創造図書館KADOMADOの開業に寄せて
本施設が建設されるエリアは、門真市立第一中学校の跡地で、それ以前も長きにわたり学びの場でもありました。その地にKADOMADOが誕生することで、脈々と続く街の歴史を継承し、しっかり過去とつながりを持った「新たな街」になってもらいたいと願っております。
それと同時に、このエリアの街づくりを検討していた当時、若手職員によるプロジェクトチームで議論し、良い意味で「門真らしくない」、ここにしかないエッジの効いた街にしていきたいという思いも込められています。また、「KADOMADO」という愛称は、この施設が、今後多くの皆さんに親しんでいただけるよう、昨年の夏に広く募集し、応募総数175件の中から決定しました。この愛称には、「窓」の言葉のイメージから、光(明るさ)やさまざまな人々(交流や情報など)の出入りする場所という意味や、KADOMADOが門真の新しい、住民の明るい笑顔や情報のインプット、アウトプットの窓口になればいいなという思いが込められています。
この施設が、全ての世代のための多様な活動の場になることはもちろん、子育て世代の呼び込みにつながり、子どもたちにとっての居場所や新たな学びの拠点になるとともに、門真の新たなランドマークとしての役割を担ってくれることを期待しています。
