閉幕後も鳴りやまぬ音楽 大阪万博、各国パビリオンで惜別パーティ

午後10時以降も祭り続いた現場をリポート

 10月13日午後10時、大阪万博が正式に閉幕した。184日間の長いようで短い半年間だった。

 名残惜しそうに静かに幕を閉じたかと思えば、会場には来場者があふれ、会場内の複数のパビリオンから大音量でノリノリの音楽が聴こえてくる状況に。

 大屋根リングを時計回りに回ってみると、まずカナダパビリオンからセリーヌ・ディオンのHeart will go onの大合唱が聴こえてきた。
 ここでは来場者も巻き込み、カラオケ大会が行われていたようで、その最後の最後にこの曲を歌っている場面に遭遇したようだった。

 移動して少し内側に入ると、オーストリアパビリオンの大きな国旗が目に飛び込んできた。

 ここではパーティーのようなものは行われていなかったが、音符の形をしたパビリオンの展望デッキ部分にスタッフが何人かいて、前を通る来場者に「ありがとう」「THANK YOU」と声をかけていた。また「万博は楽しかったか?」と尋ねると、あちこちから「YES」という声が聞こえ、皆が万博を楽しんだことが伝わり、そこにいる人全員が幸せな時間を共有していた。
 「一期一会」という言葉は海外パビリオンでよく使われていた日本語だが、ここでもその言葉が一役買っていたようだ。

 隣のスイスパビリオンでは、一番高い場所にあるハイジカフェに人がいて、緑に輝く宇宙船のように見える場所から楽しそうな声が聞こえていた。

 マルタパビリオンでは、スタッフたちがパビリオン前のスペースで、かなり楽しそうにダンスをしながら盛り上がっていた。

 お隣のチェコパビリオンでは、パビリオン前にDJがテーブルを置き、数百人はいるだろう観客に向けてクラブミュージックを流していて、午後10時をすでに過ぎていても、止める気配は全くなかった。ちなみにチェコパビリオンのDJは午後7時半頃にはすでにそこにいて観客を盛り上げていた。

 さらに進んでいくと、遠くから爆音がビートを刻んで聴こえてきた。
 ラテンのノリ、全開のイタリアパビリオンでも、パビリオン前にあったステージの上にDJブースを設置して、DJがノリノリでプレーしていた。そのステージを取り囲むように大勢の人たちが大騒ぎ。昼間も大行列のイタリアパビリオンだが、今夜は飲んで、踊って、大騒ぎ、という感じだった。

 ワインを振る舞っていたせいもあってか、観客もかなりハイなノリになっていて、これは朝まで続くのでは? と思わせるほどの盛り上がりだった。

 13日朝に、2026ミラノオリンピックへのトーチの引き渡し式典に参加していた万博イタリア政府代表マリオ・ヴァッターニさんの姿もあり、朝から夜中まで頑張っていた。
 また、ワインを振る舞っていたテーブルの下には大量のワインボトルが!

 イタリアの盛り上がりを確認した後、移動していくと、すぐ近くのセルビアパビリオンでも人が集まっていて、併設のレストランパブがパーティー会場に変身していた。

 ここでは踊ったりお喋りしたり、とさまざまなことをしながら各自が好きなように盛り上がっていた。
 ぐるっと回ってくるとまた別のラテンの国から音楽が聴こえてきた。
 今度はスペインで、あの大階段を上がったところにあるステージ部分で音楽を爆音で響かせて楽しそうに盛り上がっていた。

 スペインから少し進むと、ドイツパビリオンでも音楽が鳴り響いていた。
 夕方にパビリオンを閉めて、セレモニーも行っていたドイツも、夜になるとパーティータイムに突入したようだった。
 パビリオン敷地内のあちこちで人が集まって盛り上がっているのが見られた。

 ラテン系ではないので、イタリアなどとは違った盛り上がり方のようだった。

 この段階で午後11時前になっていて、今見てきたパビリオンにいた人たちが13日中に帰宅するのは難しいといえる状況だった。また、大屋根リングの下のベンチでくつろいでいるのか、最後の瞬間に浸っているのか、座ってのんびりしている人たちもかなり残っていた。

 会場を大きく一回りした結果、海外パビリオンでは上記のパビリオンがパーティー状態。ほかにも外からは見えなかったが館内から音楽がズドン、ズドンと聞こえるルーマニアパビリオンなどもあった。コモンズ館の中でもスタッフらが交流している姿がガラス越しに見ることができた。

 それに比べて日本のパビリオンは静かなもの。クラゲ館を除いて午後10時以降にはきっちり終了していた。時間通りに業務を終了させられる技術と能力は素晴らしいもので、褒められることだろう。それでも、海外パビリオンの楽しみ方は学ぶべきことの一つとして、検討してみるのも良いのではないだろうか。

 前回、2020年のドバイ万博では、会場の立地が便利なところだったので、会場へのアクセスは電車やバスだけでなく、自家用車や徒歩でも会場へ来ることができたため、最終日は朝まで楽しむパビリオンがあったそうで、各パビリオンスタッフも会期中は忙しくて見に行けなかったパビリオンを巡ったりしていたと聞いた。
 そのような経験があったからか、大阪万博では「予定通り」といわんばかりに、各パビリオンではスタッフも観客も同様に楽しい時間を過ごしていた。
 各国で、お国柄や国民性がでていて、万博を閉幕させるには持ってこいのやり方ではないだろうか。

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