妻の死、克服に3年 桂文枝が思い語る

 上方落語協会・前会長の六代桂文枝がこのほど81歳の誕生日を向え、所属する吉本興業の大阪での本拠地・なんばグランド花月(NGK)で「傘寿を越えて~文枝自選集・華麗なる独演会」を開催。開演前に3年前に亡くなった妻への思いを記者に語り「かなうなら、もう一度妻の手料理を食べたいですなぁ。いつまでも落ち込んでいると妻があちら(天国)で心配するので頑張らないと」と心情を吐露した。

吉本興業中興の祖・林正之助像の横でしみじみと語る桂文枝

 80歳傘寿にちなみまず黄色い羽織姿で舞台に上がった文枝は「妻の旅行」、続いてネタおろしとなった最新作「約束」、トリには封印してきた「涙をこらえてカラオケを」を3年半ぶりに解禁し演じた。

 葬儀告別式でカラオケを歌い故人を送る内容で〝人の死〟が含まれるため、2021年1月に妻の真由美さんと母・治子さんを相次いで亡くした事から高座には掛けなかったネタ。文枝は「〝涙をこらえて~〟は3年半やってなかったんです。でもこのネタを〝面白いからやってくれ〟というお声を頂いたので…。カラオケでホントに歌う場面が多く、歌詞を間違えずに全部できるかどうか…」といたずらっぽく苦笑。

元気に身ぶり手ぶりで独演会を説明する桂文枝

 本番では石原裕次郎の「銀座の恋の物語」のデュエット相手を「石原詢子(実際は牧村旬子)」と一瞬言い間違え。「あっ!間違いました!!」とすぐに訂正、同じ80歳超の言い間違いでもバイデン米大統領とはひと味違った健在ぶりを見せた。

新作の創作落語を演じる桂文枝

 次の目標に付いて「米寿(88歳)!」と即答。ライフワークの創作落語はこの日の「約束」が327作目。「もう次も考えてるんです。目標は500本」と意欲は衰えない。

 舞台裏には六代文枝一門だけでなく、おとうと弟子に当たる五代目文枝一門の噺家も多数詰め掛けて応援。先の上方落語協会会長選では、返り咲き当選こそ果たせなかったが再任された仁智会長に肉薄する得票を得た。

傘寿を意識した黄色の羽織と着物で登場の桂文枝

 おとうと弟子の1人は「兄貴(六代文枝)は奥様に先立たれ随分落ち込んでおられたがようやく吹っ切れたんやね。なんぼ独演会言うても3席は我々でもキツい。今日はジンと来ました。上方落語のためこれからも頑張ってくれはると思う」と期待を込めた。

 (畑山博史)