
ミラブルと聞くと、モデルの顔に引かれた油性ペンの太い線が、ただシャワーを当てるだけでみるみる消えていくテレビCMが思い浮かぶ。初めてその映像を見たときに「まさか……」と目を疑ったのは記者だけではないはずだ。
衝撃的だった〝初代ミラブル〟の発売から8年が経過した今年、ファインバブル専業メーカー、サイエンス(大阪市淀川区)は、前作から約2年3か月ぶりとなる最新機種「ミラブルEx」の販売を開始した。(西村由起子)

同社本社で事前に開かれたメディア向け体験会では、冒頭、平江真輝代表取締役副社長と大槻直史代表取締役専務が交互に登壇。創業から20年にわたって水と向き合い続けてきた同社の歴史に触れながら、同製品の開発背景や従来品から進化した特長など、詳しく解説された。
「ミラブル」シリーズの特徴は、ひとつのシャワーヘッドで3つの水流を使い分けられる点にある。最新機種では、その3水流が水を吐き出す構造をいちから見直し、同社の代名詞である〝ウルトラファインバブル〟をより多く生成できる新設計へと改良された。浴び心地の異なる3水流を「肌つやモード」「頭皮モード」「歯間モード」と名付けたことで、利用シーンも、使い分ける意図や目的も明確になった。
「肌つやモード」ではトルネードミストを採用し、1つの吐水口から水を毎秒約2000回転以上の〝高速うず流〟にして外気を取り込みながら〝ウルトラファインバブル〟を生成。「頭皮モード」は、2本の水流を吐出後に衝突させてウルトラファインバブルを生成しながら吐水。細く長く伸びる水流が髪の毛をかき分けて頭皮や毛穴に届き、隅々までムラなく洗い上げるように設計されている。ストロー状にまっすぐ伸びる3本の水流が特徴の「歯間モード」は、中心の空洞部に空気を取り込みながらウルトラファインバブルを生成し、水流に薄膜の部分ができるため、歯間などの隙間を洗うのに最適とのこと。

実際に記者も体験してみて、特に印象深かったのが「肌つやモード」。水滴が「肌に当たる」というより、蒸気ほどの細やかな水が肌を包み込む感覚で、ほんのりと温もりさえ感じられる不思議な肌あたり。「毎日のシャワーがスキンケアの第一歩になる」という触れ込みにもうなづける。
機能性重視だったデザインも見直され、洗練されたフォルム、カラーも目を引く。現代の多様なシャワールームやバスインテリアに馴染む、美しい仕上がりとなっている。シャワー中に手が自然と届く位置に「止水ボタン」を移動させたこと、大幅な軽量化(本体重量約265グラム)に成功したことにより、片手で操作しやすくなった点にも注目したい。
開発を担当した平江さんは、集まった記者を前に、こう語った。
「これまでもこれからも『ミラブル』は家族や子ども、年齢を重ねた親など〝大切なだれかのもの〟です。そうした大切な人を想う気持ちに、嘘偽りのないクオリティで答えるため、私たちは国内生産にこだわり、1台1台に責任を持って仕上げました。ミラブルテクノロジーは、介護施設や医療現場でも活用が広がっています。社会実装をさらに広げ、環境・宇宙開発といった領域への展開も進めながら、次世代インフラ企業を目指しています。最新機『ミラブルEx』は、その歩みのなかで生まれた家庭向けの最新到達点であり、私たちが20年かけてたどり着いた、現時点での答えです」
端的に、誠実に紡がれた言葉の背後には、20年かけて水と向き合い、技術を磨き続けてきた者たちの自信がみなぎっていた。

