プロではない市民が主役  東大阪の物語を舞台に

市民一人一人が主役となり、舞台を彩った第1回公演

 東大阪市を舞台に、市民一人一人が主役となって作品をつくり上げる市民参加型ミュージカル「100-ONE hundred 2026」が11月28、29日、東大阪市文化創造館 Dream House 大ホールで上演される。脚本はドラマ「おっさんずラブ」などを手掛けた徳尾浩司さん、音楽は「マツケンサンバⅡ」で知られる宮川彬良さんが担当。企画・演出は、東大阪市文化創造館の立ち上げにも関わった阪本洋三さんが務める。舞台に立つのは、プロではない市民たち。作品づくりを支える東大阪市文化創造館事業企画担当の八田祐薫さんに、取り組みの背景や舞台に込めた思いを聞いた。

一般市民が主役となり、東大阪の物語を舞台で表現する

市民が主役となる舞台の原点

 市民ミュージカルプロジェクトは2018年に始まった。プロではない市民が舞台に立ち、仲間と作品をつくり上げる取り組みだ。当初は演劇を想定していたが、構想が広がり、ミュージカルへと発展した。

 企画の実現に向けては、東大阪市文化創造館の立ち上げに関わった阪本洋三さんが、脚本家の徳尾浩司さんに東大阪を舞台にしたミュージカルの構想を伝えたのが始まり。ワークショップなどを通じて地域の魅力を物語に取り入れながら、作品作りを進めてきた。

 この取り組みで大切にしているのは、公演の完成度だけではない。稽古を重ね、さまざまな人と協力しながら一つの作品をつくり上げる過程も、参加者にとって大切な経験としてほしいと考えられている。

舞台を支える運営の役割

 公演には事務局の4人とクリエイティブスタッフ約20人が関わる。出演者の募集や連絡、舞台制作に携わる関係者との調整など、事務局は出演者とクリエイティブ側をつなぐ役割を担う。

 脚本や音楽、振り付け、演奏、舞台監督、照明、音響、衣装、メイクなど、舞台の完成には多くの人の力が欠かせない。出演者が安心して稽古に取り組み、本番を迎えられるよう、関係者が連携できる環境を整えている。

 八田さんが大切にしているのは、参加者が公演を無事に終え、達成感を得ることだ。
 「本番の日に『楽しかった』と、けがなく終えてもらえることが一番です。みんなで作り上げたという実感を持ち帰ってほしい」(八田さん)

 学校や職場とは異なる場所で、多様な人と一つの目標に向かう。舞台に立つだけでなく、作品を支える人々と協力する経験も、市民ミュージカルの意義の一つとなっている。

市民ミュージカルの運営を支える事務局スタッフ。出演者や関係者が連携し、舞台づくりを進める

地域の題材で観客との距離を縮める

 作品には、旧生駒トンネルや、かつて「東洋のハリウッド」とも呼ばれた長瀬映画撮影所、花園ラグビー場など、東大阪にゆかりのある場所や文化を取り入れてきた。今回の作品には、東大阪にゆかりのあるカレーも登場する。出演者からも、カレーを作品に取り入れてはどうかという提案があったという。

 身近な場所や食べ物が物語に登場することで、地域に暮らす人は舞台を自分たちの生活と結び付けて楽しめる。家族や友人が出演する観客にとっても、普段とは違う出演者の一面を知る機会になる。

 また、出演者を知らない人にも、市民が力を合わせて舞台を作る姿を通じて、観劇や出演への関心を持ってもらいたいという。

舞台経験を自信に変えて

 八田さんの印象に残っているのは、参加した子どもたちの変化だ。初めは人見知りで周囲と話せなかった子が、稽古を重ねるうちに仲間と打ち解け、輪の中心になる姿も見られたという。

 公演をきっかけに新たなコミュニティーが生まれ、終演後も交流が続く人たちもいる。舞台を通じたつながりは、施設の外にも広がっている。

 市民ミュージカルは3年に1度のプロジェクト。過去に参加した小学生が成長し、将来は主役を務める姿も期待している。
 「若い世代には自信を持つきっかけに、シニアや大人世代には新しい挑戦の場になればと思います」と八田さんは話す。続けて「今後も時代に合わせて作品や活動を見直し、参加者が達成感を得られ、観客が再び足を運びたくなる舞台を目指す。」と意気込む。

参加者が舞台を通じて自信を持つきっかけになれば、と話す八田祐薫さん
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