7月に乱高下した株式市場。あちこちで「株はバブルだ」と言う声を聞くが、果たして本当にそうだろうか?
バブルかどうかを語るときに比較されるのが、1990年代後半から2000年にかけてのITバブルだ。あの時は異常な世界が展開された。全く儲かっていないどころか、売上すら記録していない企業に大量の資金が流れ込み、株価が暴騰するという状況だった。
そのバブルの中心地が米ニューヨークだった。西のカリフォルニア州サンフランシスコのベイエリアの南部にある「シリコンバレー」に対して、「シリコンアレー」と呼ばれ、金融や物販、サービスなどのジャンルでビジネスモデルを引っ提げた企業が〇〇ドットコムという社名を掲げて次々と登場し、資金を獲得していった。
当時、渦中の米ニューヨークに住んでいた筆者は、ITやインターネットのビジネスカンファレンス(※1)や、ベンチャー企業による資金獲得のためのピッチ(※2)に頻繁に参加していた。企業の経営者や起業家、ベンチャーキャピタルの運営者、大企業からの参加者などを取材するためだ。このため、私は当時の最先端の情報にふれ、市場の動きを肌で感じていた。
企業のピッチは朝から始まり、夕方に終了するころには、数億円程度のシードマネー(種銭)を獲得する企業がいくつも現れるのが当たり前の状況だった。シリーズAやB(※3)の資金を求めるころには買収提案を受け、創業者は数十億円規模の財を手にすることもよくあった。そして、実体のよくわからないドットコム企業が次々とIPO(新規上場)して株価が暴騰し、後にバブルと呼ばれる状態を生み出した。
そんなことを繰り返しているうちに、ドットコムと言う名称をつけている企業は〝ハリボテだらけ〟ということがバレて、株価が暴落。当然、ほとんどのドットコム企業は消えてなくなった。
当時のITバブルに比べると、現在株価が高騰している企業の中心は、実際に巨大なビジネスを展開していて、莫大な利益を出している企業だ。PER(株価収益率)も異常な数字ではない。
一時的に株価が急上昇してバブルのように見える企業でも、売上がそれに比例して増えていることが多い。中にはどさくさ紛れにバブルと言えそうな企業も含まれているが、市場全体がバブルかというと、私にはそうは思えない。
バブルかどうかを判断するための諸条件があまりにも違いすぎるし、実体を伴っているかどうかという点では当時と全く状況が違う。こうした点を鑑みると、現在の市場はバブルではないと言える。つまり、株価が10%程度下落する調整は入るものの、今後も健全に上昇していくはずだ。
………………………………………………………………………………………………………………………
【※1】特定のテーマについて議論や情報共有を行う大規模なビジネス向けの会議や講演イベント。
【※2】自社の事業や商品、アイデアを短時間で魅力的に伝える短いプレゼンテーション。
【※3】新しい会社(スタートアップ)が事業を大きくするためにお金を集める投資ラウンド。初めての本格的な資金集めをシリーズAと呼び、調達額は5億円〜10億円。シリーズBはビジネスが軌道に乗り、もっと大きくする段階で、調達額は20億〜50億円以上となる。

