塩野義製薬(大阪市北区)と北海道大学(札幌市北区)が共同で進めてきた新型コロナウイルス感染症(COVID―19)治療薬の研究が評価され、内閣府主催の「第8回日本オープンイノベーション大賞」で経済産業大臣賞を受賞した。表彰式は2月9日、東京都港区の虎ノ門ヒルズフォーラムで行われた。

受賞対象となったのは、両者が連携して開発した抗ウイルス薬「エンシトレルビル フマル酸」(商品名ゾコーバ)。ウイルスの増殖を抑える経口治療薬で、国産の新型コロナ治療薬として国内で使用されている。
日本オープンイノベーション大賞は、企業や大学などが連携して新しい技術や仕組みを生み出す〝オープンイノベーション〟の優れた取り組みを表彰する制度。先導性や独創性、社会的インパクト、持続性などの観点から審査され、分野ごとに大臣賞や長官賞などが授与される。
今回の受賞では、2020年4月に新型コロナ治療薬の研究開発を開始し、約2年余りという短期間で新薬を開発した点が高く評価された。技術の先見性や研究成果が、感染症への備えを強化する国家レベルのレジリエンス向上や産業競争力の強化に結びつく点も評価された。また、大学と企業が連携して研究開発から社会実装まで進める、持続性の高いイノベーションモデルであることも受賞理由となった。
研究では、北海道大学が流行前から進めてきたコロナウイルス研究の知見を生かし、流行株を用いた実験や動物モデルによる評価を担当。塩野義製薬はコンピューター解析による候補化合物の探索や合成、ウイルス増殖を抑える効果の検証を進め、非臨床試験や臨床試験など創薬から開発までを担った。
受賞者は、北海道大学ワクチン研究開発拠点拠点長で卓越教授の澤洋文氏、北海道大学人獣共通感染症国際共同研究所の大場靖子教授、佐々木道仁准教授、塩野義製薬創薬疾患研究所の佐藤彰彦主席研究員、佐名木孝央主任研究員の5人。
澤氏は「長年にわたる共同研究を通じ、基礎研究の成果が社会でどのように生かされるか多くを学ばせていただいた。今後も大学発の研究成果を社会に届けられるよう、若い研究者と努力したい」とコメント。佐藤氏は「インフルエンザ研究から続く共同研究が、新型コロナ治療薬の迅速な発見につながった。今後も研究を発展させ、患者に治療薬を届けたい」と話している。

