大手前に「副首都庁」整備を検討 有事の政府拠点、通常国会で法案成立へ 吉村知事

 大阪府の吉村洋文知事は、府庁のある大阪市中央区の大手前地区に、国との合同庁舎となる「副首都庁(仮称)」を整備する構想を固めた。大規模災害時に政府の中枢機能を代替する拠点として、総整備費は最大約1250億円と試算。吉村知事は12月17日の会見で、自民党との連立合意に基づき、来年の通常国会で「副首都法案」を成立させる準備を進めていると明かした。

大阪市中央区大手前にある旧大阪府議会会館。副首都機能を担う庁舎整備の候補地の一つとみられている=12月18日、編集部撮影

大阪城隣接に「副首都庁」構想 国と庁舎集約でコスト抑制を

 大阪府が検討する「副首都庁(仮称)」構想が具体化してきた。予定地は大阪城に隣接する大手前地区。老朽化が進む府公館や国の合同庁舎が集まる跡地に、有事の際に東京をバックアップする最新拠点を整備する計画だ。
 吉村洋文知事は、この整備手法の「合理性」を強調。国と府が個別に建て替えるのではなく、一つの巨大な合同庁舎に集約。知事は「国との合築で賃料収入を得られれば、府の負担を抑えつつ土地を有効活用できる」と説明する。かつて府市間で問題となった二重行政の解消手法を国との枠組みに広げ、効率化を突き詰める格好だ。
 12月17日の会見で吉村知事は、前日に高市早苗総理と会談し、連立合意にある「副首都法案」を来年の通常国会で成立させる認識で一致したことを明かした。総理から「しっかりやっていこう」との言葉を得たとしたうえで、与党の過半数割れの現状にも「他党の意見を聞き、法案を通したい」と突破に意欲を示す。
 府は12月下旬の推進本部会議で計画を詰め、年内に国へ要望する。知事の掲げる合理性と政治的な連携が、国を動かす説得力を持ち得るかが今後の焦点となる。

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