経済

【新築分譲マンション市場動向】近畿圏の新築、1平方㍍90万円超え 調査開始以来の最高値

 不動産経済研究所(東京都新宿区)は2024年の「新築分譲マンション市場動向」を発表した。近畿圏編の販売価格は、さらに高くなったのか、売れ具合はどうだったのか解説する。

最高価格が25億円となった建設中のグラングリーン大阪ザ・ノースレジデンス
スポンサーリンク

供給減で販売戸数も減少

 2府4県の販売戸数は前年比1・6%減の1万 5137戸となり、3年連続で減少した。

 エリア別に見ると、大阪市部が4890戸、大阪府内3910戸、神戸市部2036戸、兵庫県内1682戸、京都市部1538戸の順となった。販売戸数の減少について同社大阪事務所(大阪市中央区)の担当者は「供給数が少なく、売り絞りが一部あったため販売戸数が減少した」と話す。

グラングリーン大阪 最高価格25億円

 一方、初月契約率は74・3%と、昨年に比べ2・9㌽アップし、3年連続70%超となった(エリア別については図参照)。

  1戸あたりの平均価格は5357万円。昨年より14・8%アップとなり、1991年の5552万円以来の高値となった。平米単価も14・8%アップの90万7000円となり、1973年の調査開始以来、最高値を4年連続で更新した。

 大阪市部の平均価格が、昨年に比べ約46%も上昇した要因には、最高価格が25億円の「グラングリーン大阪 ザ・ノースレジデンス」が影響している。さらに、グラングリーン大阪を含む「うめきたプロジェクト」で周辺のマンション価格も上昇していることも要因の一つとみている。

 2025年の販売戸数について、同社は24年より363戸増の1万5500戸程度と予測している。

 前述の担当者は、「大阪中心部では今後ますます土地の確保が難しくなるため、郊外への拡大が進む。また、購入層の動向を考えるうえでは、金利の変化にも注視する必要がある」と解説する。

定借物件 昨年比71%増

 さらに、近畿圏で増加しているのは「定期借地権付(定借)分譲マンション」だ。地主から期限付きで土地を借り、その上に建設された建物を所有し、期限を迎えたら持ち主に返還する仕組み。一般的な所有権マンションに比べて、価格を抑えられるのが利点だ。

 この定借マンションの供給が、23年に比べて71・6%増の1062戸となった。「存続期間は50年以上に定められているが、60年、70年と期間が広がっている。更地にして返還しないといけないため、最終的には退去しないといけないが、近畿圏の場合、定借だからこそ好立地に建設される物件も多い」(担当者)。 なお、冒頭に記載した24年販売戸数(1万5137戸)に定借マンションは含まれていない。

 都心部・郊外ともに市場の変化が続くとみられ、価格動向や供給の動きが注目される。開発計画、経済情勢が住宅市場にどのような影響を与えるのか今後の動向を確認し改めて紹介する。(加藤有里子)