近畿大学の浦山秀誠3段が5月夏場所デビューへ

 学生相撲界の名門・近畿大学の主将、浦山秀誠3段(22)の大相撲音羽山部屋入りが決まり、師匠(元横綱鶴竜)同席で抱負を語った。現在、地元・大阪で春場所開催中だが初土俵は次の5月夏場所(東京・両国国技館)を予定。昨秋の全国学生選手権個人戦でベスト8入りしており、相撲協会理事会承認を得て幕下最下位60枚目格付け出しでのデビューとなりそう。 

音羽山部屋入門が決まり師匠(左から2人目)らと共に記念撮影の浦山(同右隣)

 父の浦山英樹富山商高相撲部監督は大関朝乃山を育てた名伯楽だったが、秀誠3段が中学2年生の時に病気で他界。彼は「父と同じく富山商高相撲部の指導者になる」と誓い同高を経て近大へ進学。3年の時にチームは13ぶり9回目の全国学生選手権団体戦日本一に。4年中心のチームで唯一3年生レギュラーだった浦山も歓喜の渦中にいた。しかし翌年主将引き継ぐとチーム力は大きく後退し、焦れば焦るほど西日本大会でも勝てない状態に。その弱小チームをまとめ上げ優勝旗返還の昨年全国学生選手権の団体戦では予想を覆す3位入賞。「正直、自身の個人戦どころではなかった。昨年のインカレでの個人戦8強は全く無欲でした」と話す。

亡き父の思い出などを語る浦山

 そんな時に近大相撲部道場を訪れた音羽山親方と会った。帰郷しての母校の指導者しか眼中になかった浦山に、親方は「大相撲でやるだけやってその後に後進育成を手がける道もある」と説いた。浦山は亡き父が「一度は大相撲でやってみたかった」と話していた事を思い出し「父の果たせなかった思いを遂げることも供養」と一転プロ入りを決意した。

師匠と握手を交わす浦山(右)

 183㌢160㌔の堂々たる体躯。親方は「体重は今で十分。後は体を締めればプロでも勝てる」と既に手応えを感じており、「大阪場所後に一緒に帰京し部屋でしっかり稽古させる」と青写真を描く。

昨夏の西日本学生体重別選手権の135㌔超級で優勝した時の浦山(左)

 得意は体を生かした突き押しと組んでの寄り。目標は「1場所でも早く関取になって、母校や応援して下さる方々に恩返しする事しかない」と話す。ケガによる休場から春場所で三段目として土俵に復帰した高校大学の先輩・朝乃山とも順調なら夏場所での幕下同士対戦もありうる。「近大ではコロナ禍まで春場所前に先輩力士の皆さんが母校道場に集まり、現役部員に稽古を付けて下さる機会があった。これがコロナでずっと中止になって久しい。僕は朝乃山さんが大関になられた頃はまだ高校生で直接稽古を付けて頂いた経験がない。もし本場所で対戦できたらとても光栄。胸を借りるつもりで思い切り当たりたい」と夢を広げた。

 (畑山 博史)