【大阪の女性起業家特集】ReTaby 代表取締役 坂野恵里さん

「病気があっても、自由に旅をしたい」。その切実な願いを叶えてくれる旅行会社がある。医療度に応じて医師や看護師、介護士が同行し、医療的ケアが必要な人でも安心して旅に出られるサービスを提供する「リタビー」だ。人生100年時代。高齢になっても外出したいという思いは確実に増えている。
代表の坂野恵里さんは泌尿器科医。リタビーの運営と非常勤医という二足の草鞋を履く。起業の原点には、旅行を希望する患者の声に加え、脳出血で車椅子が必要になった母との旅行計画があった。宿泊先や新幹線の手配など高いハードルが立ちはだかったのだ。「行きたいのに行けない。こんな思いを抱える人の力になりたい」と一歩を踏み出した。
「旅行会社」という形にしたのは、宿泊・移動・介助をワンストップで整えられる強みがあるからだ。ただし旅行業には「旅行業取扱管理者」の資格が必要になる。医療畑の坂野さんにとっては未知の領域だ。だが強い情熱が、奇跡の様な縁を引き寄せる。資格を持ち、添乗員歴20年以上の介護福祉士との出会いに恵まれ展望が開けた。
坂野さんは、「病気と付き合いながら、生きがいを持って過ごしてほしい」と語る。その背景には、旅行が健康に与える効果への確信がある。認知症予防や社会的健康への寄与は研究でも示されているという。
最近は、地元の看護師などと協働し、地域の魅力を深く伝える取り組みも始まった。高知や香川では県庁の観光課でのプレゼンを経て、情報提供などの連携が進行。ゆくゆくは全国展開を見据える。
さらに、近隣のクリニック発着のバスツアーも企画。主要駅まで行けない人でも参加しやすく、クリニックのコミュニティ化や外出習慣の支援にもつなげる狙いだ。堺市のスタートアップ実証事業にも採択され、地域の健康づくりにも貢献している。
「病院では見えない、心から楽しむ表情に出会えるのが嬉しい」と坂野さんは語る。医療と観光の間に橋をかけ、〝生きる力〟をそっと後押しするリタビー。その旅は、多くの人の人生に新しい景色をもたらしていく。
詳細はホームページ(https://retaby.co.jp/)へ。
