自転車酒酔い運転の厳罰化から1カ月 他にどんな行為が罰金になる? イヤホン 傘さしもアウト

 昨年11月の道路交通法改正で、自転車の酒気帯び運転が罰則対象となり、すでに逮捕者も出た。加えて「ながらスマホ」も罰則が強化された。ところで、自転車の運転は他にどのような行為が罰金や危険行為と見なされているのか。調べてみた。

道交法改正で「ながらスマホ」も罰則対象に/image photo
道交法改正で「ながらスマホ」も罰則対象に/image photo

 2024年11月の道路交通法改正に伴い、自転車の酒気帯び運転が罰則の対象になったことは前回(11月23日号)お伝えした。今回は、酒気帯びの1カ月時点での事故、違反件数や、酒以外にどのような行為が罰金や危険行為と見なされているのかを解説する。

飲酒運転事故で2人逮捕

 大阪府警察本部交通課の発表によると、2024年11月1日から30日時点での自転車の酒酔い、酒気帯び運転での事故は48件。そのうち、逮捕に至ったケースは2件だった。1件は高槻市内で酒を飲んで自転車に乗っていた運転者が転倒し、現場に居合わせた警察官によって現行犯逮捕された。もう1件は福島区内で酒に酔って自転車を運転して歩行者とぶつかり、現行犯逮捕となった。
 一方、「自転車の酒気帯び運転」や、自転車運転者への「酒類・自転車提供」、「同乗」の交通違反は95件。酒気帯び運転者と店主が一緒に歩道を走行しているケースもあったという。また、免許停止処分は3件だった。さらに、未成年者による事故、違反もそれぞれ1件ずつ発生したという。

青切符反則制度 26年に施行

 では、ここから飲酒運転以外にどのような行為が罰金や危険行為と見なされてるのかを解説する。
 まず、走行中にスマートフォンを手に持った状態で通話をする行為、スマホを手で保持して、あるいは自転車に取り付けたスマホの画面を注視する「ながらスマホ」。従前から禁止されていたが、11月の改正で罰則が強化された。
 「ながらスマホ」をした場合、6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金。「ながらスマホ」により交通事故を起こすなど交通の危険を生じさせた場合、1年以上の懲役または30万円以下の罰金と厳しい内容が定められた。大北良弘調査官は、「どちらも自転車が停止しているときは、罰則の対象外だ。『ながらスマホ』についても自動車の罰則強化と同様で自転車も加わったと認識してもらうのが良い」と話す。
 危険行為(違反行為)を繰り返し行ったとして、3年以内に2回以上検挙された場合、「自転車運転者講習」の受講は既に義務づけられている。命令を無視し、自転車運転者講習を受けなかった場合は、5万円以下の罰金が科される。

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1月以降も一斉取締実施予定

 さらに、反則金納付の「青切符」による取締りの法律が昨年5月24日に公布され、26年に施行される。この青切符による取締りは16歳以上を対象とし、信号無視や一時停止無視、ながらスマホなど113種類の違反行為を適用範囲としている。
 大阪府警では、11月から一斉取り締まりを実施。11月13日に大々的に行った取り締まりでは酒気帯びやながらスマホ、信号無視、右側通行、安全な運転に必要な音や声が聞こえない状態でのイヤホン運転を1017件指導したという。
「今のうちから指導をきっちりして切符を切らないように改善を図るため集中取り締まりを実施している」。25年も定期的に一斉取り締まりを行う予定だという。
 20年の国勢調査によると、通勤通学時の交通手段が「自転車のみ」「鉄道・電車及び自転車」の割合が全国でトップとなるほど、自転車人口が多い大阪。自転車人口と比例して、違反行為も増えることが懸念される。「自転車だったら許されるという認識、風潮があるが、そうではない。ルールを守ってもらえるよう指導していく」(大北調査官)

■ 自転車運転者講習の対象とされる「危険行為」

信号無視
自転車は信号機の指示に従う必要がある

通行禁止違反
通行禁止の道路を走行してはいけない

歩行者用道路における車両の義務違反(徐行違反)
歩行者専用道路を通行する場合、歩行者に注意し徐行する必要がある

通行区分違反
車道、自転車道を通行し、道路は左側を通行する義務がある

路側帯通行時の歩行者の通行妨害
路側帯では歩行者の通行を妨げないよう進行しなければならない

遮断踏切立入り
遮断機が閉じている、または警報中の踏切に進入してはいけない

交差点優先車妨害
交差点を右折する時、他の車両の進行を妨げてはならない

環状交差点安全進行義務違反等
環状交差点では徐行し、車両や歩行者を妨害しないよう安全に進行しなければならない

指定場所一時不停止等
一時停止の標識がある場合は一時停止しなければならない

歩道通行時の通行方法違反
歩道では徐行し、歩行者を妨げる場合は一時停止する義務がある

制動装置(ブレーキ)不良自転車運転
前輪と後輪にブレーキを備えていない自転車を運転してはいけない

酒酔い運転、酒気帯び運転
酒気を帯びた状態で自転車を運転してはいけない

安全運転義務違反
確実な操作と適切な速度で運転し、他人に危害を及ぼしてはいけない

ながらスマホ
スマートフォンを操作しながら自転車を運転してはならない

妨害運転
車両や歩行者の進行を妨害する危険運転を行ってはならない

気をつけて!こんなケースも罰則対象

イヤホンやヘッドフォンをして音や声が聞こえず、安全に運転できない
5万円以下の罰金

傘さし運転
5万円以下の罰金等

2人乗り
5万円以下の罰金

2台以上の自転車が同じ速度で並走
2万円以下の罰金または科料
※「並進可」の標識があるところを除く