大阪観光、次の成長ステージへ 滞在延長と消費拡大、府域周遊に手応え

 大阪観光局は5月22日、定例記者会見を開き、訪日外国人客の動向や観光消費、今後の施策について説明した。溝畑宏理事長は4月の訪日客について、中国市場の落ち込みや中東情勢、燃油価格高騰の影響を受けながらも、全体では前年同月比94.5%にとどまり、「減少幅は思ったより少なかった」との見方を示した。

記者会見で「Akinai大阪」について説明する(左から)名越部長、溝畑理事長、鵜殿代表、田中事業部長=5月22日、大阪観光局(大阪市中央区)

 中国は前年同月比43.2%減と大きく落ち込んだが、韓国や台湾、香港は好調で、3地域合計では同114.4%。韓国と台湾は4月として過去最高を記録した。東南アジアもシンガポール、マレーシア、ベトナム、インドなども堅調に推移している。
 一方で、欧州は前年より約12%減少。夏以降の予約も遠距離市場を中心に弱含みが見られるという。エミレーツ航空が5月1日に運航を再開し、カタール航空も6月16日から週5便で再開予定であることから、大阪観光局は欧米、中東経由の需要回復に期待を寄せた。
 観光消費では、2030年に訪日客2300万人、消費額4兆円を目指す上で、1人当たり消費額の引き上げが課題となる。大阪の消費単価は約9万8000円で、目標達成には15万円程度まで高める必要があるという。
 溝畑理事長は東京の平均宿泊数が約5・4泊なのに対し、大阪は3.5〜3.7泊程度にとどまっている点を挙げ、「滞在日数をどう増やすかが大きな課題」と指摘した。その上で、宿泊日数を伸ばすことで飲食や買い物、娯楽などの消費にもつなげていきたい考えを示した。

ショッピングの満足度高い

 同局が関西空港で実施した出口調査では、大阪観光の満足度は97.1%と高水準だった。推奨度を示すNPSも68となり、同局では大阪観光が高い評価を得ているとみている。分野別ではショッピングの満足度が高く、B級グルメや街歩きと並び、大阪の優位性として分析された。訪日客が大阪で楽しんだこととしてショッピングが上位に入っていることに触れ、「大阪でちゃんとショッピングが楽しめることを発信していく」と、今年度は食と買い物の分析を強化する方針を示した。
 また、大阪市外を訪れる「府域周遊」も伸びている。同市以外への訪問率は25%となり、18年から倍以上に増加した。箕面市の勝尾寺など、外国人観光客に人気のスポットも広がっており、同局は観光効果を府内各地に波及させる取り組みを進めるという。

KITTE大阪に新拠点

 同日には、大阪の観光、物産、ものづくりを発信する新拠点「Akinai大阪」が7月下旬、KITTE大阪に開設されることも発表された。同局やエムズブランディング、大阪産業局、大阪商工会議所が連携し、20坪の物販エリアと13坪のイベントエリアを設ける。年間200日以上の体験企画やワークショップを予定し、大阪製ブランド製品や伝統工芸品、中小事業者の商品を国内外に発信する。
 エムズブランディングの鵜殿麻里絵代表は「大阪に来たら、まず寄りたいと言っていただける場所を目指したい」と話し、一過性では終わらない魅力発信拠点にしたい考えを示した。大阪産業局の田中良典MOBIO事業部長は「大阪の中小企業の技術力や職人、作り手の思いを発信できれば」と述べた。大阪商工会議所の名越由美子流通サービス産業部長は「一度使うとまた使いたくなる、そうした〝飽きない大阪品〟を見つけに来てほしい」と期待を込めた。
 溝畑理事長は「観光は災害や疫病、国際情勢の影響を受けやすい」とし、インバウンドだけでなく国内観光にも力を入れる必要性を強調した。万博で高まった大阪への関心を一過性で終わらせず、夏の暑さ対策や府域周遊、ナイトタイムエコノミー、買い物需要の取り込みを進める考えだ。
 大阪観光は訪日客数の回復だけでなく、滞在日数や消費単価をどう高めるかという新たな局面を迎えている。

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