大阪・ヒガシのマンション市況が新たな局面を迎えている。都島区片町では、中古市場で坪単価1000万円超の住戸が登場。天満橋では複数の高層タワーマンション計画が進み、京橋でもJR地下化事業を起点に再開発機運が高まっている。ヒガシで今、何が起きているのかを取材した。

都島区片町で坪単価1000万円超 プラウド大阪城が切り開いた新常識
野村不動産の「プラウド大阪城」と聞いて、すぐにピンと来た人は、かなりのマンションオタクと言っていいだろう。住所は都島区片町1丁目。JR東西線「大阪城北詰」駅から徒歩6分。大阪メトロ・京阪「天満橋」駅からは徒歩10分。タワーマンションではない板状タイプ。決して派手なプロジェクトではないが、大阪のマンション市場や業界関係者に大きなインパクトを与えた物件として、その名を轟かしている。
同物件の新築販売時の平均坪単価は約750万円。堂島や中之島、福島、中崎町など梅田徒歩圏のタワーマンションと同水準、もしくはそれ以上の価格で売り出されたが、一部住戸では抽選販売となるなど好調だった。現在、中古市場ではさらに価格が上昇しており、坪単価900万円台で取引が成立している。SUUMOなどのポータルサイトを見ると、坪単価1000万円を超える価格で掲載されている住戸もあり、驚かされる。

なぜ、これほどの高値で取引されているのか。大阪のマンション事情に詳しい「TOWERZ(タワーズ)」の芝崎健一COOは「大阪城を独り占めできる眺望と天満橋の再開発、そして大阪城東部地区まちづくりへの期待感が価格を押し上げている」と見る。
同物件は名前の通り、大阪城の天守閣を望む「大阪城ビュー」を全面に押し出した販売戦略を展開してきた。新築販売当時のショールームでは、実物のサッシの奥に大阪城が投影された映像が広がり、四季や時間帯によって移ろう美しい景色を体感できる演出が施されていた。
「ここまで眺望に振り切った物件も珍しい。都島区では過去に例のない高額物件となったが、中古市場でも価格上昇が続いており、野村不動産の値付けは適正だったのではないか」と芝崎氏は解説する。
天満橋でタワマン開発ラッシュ
天満橋の東側では大規模な再開発が進行中。日本経済新聞社旧大阪本社跡地には、米ヒルトンが運営するホテル「ダブルツリーbyヒルトン大阪城」 とテレビ大阪の新社屋が入居する複合ビルが2024年に完成。その西側、テレビ大阪旧本社跡地を含む敷地では、大和ハウス工業による地上39階建てのタワーマンション「(仮称)大阪市中央区大手前一丁目プロジェクト」が進行中。デベロッパー関係者の間では「平均坪単価1000万円は超えてくるのでは」と予想されており、天満橋の風景を一変させるランドマークタワーになりそうだ。

大川の対岸、北区天満1丁目では、三井不動産レジデンシャルと京阪電鉄不動産が地上30階建てのタワーマンション「パークタワー大阪天満橋」を開発している。こちらは既に販売が始まっており、第1期1次で売り出した27戸が平均坪単価約700万円で全戸完売し、順調な滑り出しとなっている。
JR地下化で京橋がいよいよ動き出す
大阪ヒガシでマンション価格の上昇が続く中、現時点ではまだ値頃感があり、今後さらなる伸びしろを秘めているエリアは、やはり京橋ではないだろうか。本紙でも度々報じているが、JR片町線・東西線の地下化事業が再始動したことはビッグニュースだ。これにより、都市計画道路「豊里矢田線」の整備やイオン(旧ダイエー)京橋店跡地の再開発、京阪ホールディングスによる駅直上ビルの建設など、周辺開発が一気に動き出す可能性がある。
現在、京橋駅東側は道路ネットワークに課題を抱えている。豊里矢田線は、国道1号「桜小橋」交差点から南下し、片町線の「新喜多」踏切を越えると寝屋川に差しかかるが、そこに架かる橋は一方通行。南行きは通行できず、川の手前で左折し、大きく迂回しなければならない。

また、城見通と交差する「鴫野西2」交差点から北に向かっても、寝屋川にたどり着くことはできない。こうした「ブツ切れ」状態の区間を1本の幹線道路として整備し、森之宮東部~OBP(大阪ビジネスパーク)東部~京橋駅東側~国道1号までを結ぶ直線的な道路に再編する。
森之宮再開発との相乗効果
この道路でつながる森之宮東部には、大阪メトロが三菱地所と組み、1万人超の観客を収容できるアリーナを建設する。三菱地所といえば、グラングリーン大阪の成功が記憶に新しい。他にも、メトロの新駅や複合駅ビル、空飛ぶクルマの空港「バーティポート」を設置予定で、新たなまちづくりへの期待感は大きい。

その隣接地であり、ターミナル駅として交通結節点の役割を担う京橋は、今後、大阪ヒガシの中でも資産価値の上昇余地が大きいエリアと言えるだろう。まちのアップデートに呼応するように、大阪ヒガシのマンション市況は、さらに熱を帯びていきそうだ。

