「生きがい」生む女性のシルバーパワー 多彩な特技で地域に貢献

門真市シルバー人材センター

 60歳以上の働く意欲がある人に仕事の機会を提供する、公益社団法人門真市シルバー人材センターでは、近年、女性会員の躍進がひときわ目立っている。多様な経歴を持つ女性会員が、それぞれの特技や経験を地域社会に還元し、街全体にみずみずしい活力を与えている。そんなパワー溢れる彼女たちの取り組みを取材した。 (井上康裕)

門真市シルバー人材センターで活躍する女性会員ら

挑戦し続ける心に年齢なし

河内れんこんの葉などを染料に使用した、草木染の作品

幅広い活動を行う、女性活躍委員会

 同センター内に設置された、女性活躍委員会の山根由紀枝さんと鈴木美佐子さんは、市民を対象とした「無添加みそ作り体験会」を主宰し、食文化の継承に力を注ぐ。作業には圧力鍋を用いた効率的な手法を取り入れる一方、仕上げの工程では昔ながらの「手仕事」を重視する。
 「素手で大豆を混ぜることで、その人が持つ常在菌が入り、まろやかで奥深い味わいになる」と笑顔を見せる山根さん。この体験会は、単なる調理実習にとどまらず、子どもたちと高齢者が触れ合う貴重な世代間交流の場としての役割も果たしている。
 ここで仕込まれた手作りみそは、藤谷芳子さんらが運営するセンター内のキッチン事業でも活用され、地域の憩いの場であるランチタイムのみそ汁として、多くの市民に親しまれる予定だ。
 元美容師の西知惠子さんは、定年後にゼロから学び始めた「草木染」や「紙すき」の技術を磨き、表現の幅を広げている。染料には、門真が誇る「なにわの伝統野菜」である河内れんこんの葉や、家庭で廃棄されるタマネギの皮など、身近な天然素材を活用する。煮出し汁の濃度や温度によって、同じ素材でも二度と同じ色は出せない一期一会の色合いが魅力だという。
 西さんの活動は地元の小学生への環境学習の一環として、体験会も実施されている。子どもたちに「地産地消」や、廃棄物に新たな価値を与える「アップサイクル」の大切さを伝える西さんは、「今後はワークショップの充実や、作品の展示販売を通じて、さらに創作の輪を広げたい」と目を輝かせる。

女性活躍委員会が主宰する、無添加みそ作りの様子

愉快で楽しいことを実現

 「とにかく愉快で、楽しいことをたくさん形にしよう」を合言葉に活動するのは、駒井温子さんや川畑さよ子さんらが結成した「楽しいこと実現隊」だ。正月向けの本格的なしめ縄作りや、季節を彩る寄せ植え教室といった体験活動に加え、日本銀行の見学ツアーなどの社会科見学も積極的に企画・運営する。
 単なる余暇活動ではない。家に閉じこもりがちになる時期を乗り越え、外に出て他者と時間を共有すること、そしてそのために身だしなみを整え、おしゃれを楽しむことが、心身の健康にいかに重要かを彼女たちは体現している。こうした活動を通じて、参加者たちには「明日が楽しみになった」というポジティブな変化が生まれている。
 また、元ケアマネジャーとしての長年のキャリアを地域につなげているのが小川房子さんだ。その専門知識を生かし、生活援助従事者研修の講師として後進の育成にあたるほか、地域の高齢化という課題にも正面から向き合っている。
 小川さんは「認知症予防には、何よりも他者との継続的な交流が不可欠」と強調する。そのため、誰もがふらりと立ち寄り、お茶を飲みながら会話を楽しめる「通いの場」の創出に情熱を注いでいる。彼女の活動は、孤独を防ぎ、地域全体で支え合うコミュニティーづくりの礎となっている。

大阪・関西万博や大阪マラソンでも活動

 多彩なセンター活動は、参加する女性たち自身にも、これまでにない「新たな生きがい」と自信をもたらしている。大阪・関西万博の舞台で披露した河内れんこんをモチーフにした健〝根〟体操や、大阪マラソンのボランティア活動への参加は、その象徴的な出来事だ。これらは個人では到底関わる機会さえ得られないような、社会的な意義の大きい大舞台であり、シルバー人材センターという組織の力、そして志を同じくする仲間の存在があって初めて実現したものだ。
 「一人では不安で踏み出せないような挑戦も、ここで支え合う仲間がいたからこそ、新しい自分に出会うことができた。個人では味わえない、チームで一つのことを成し遂げる充実感を知った」と話す彼女たち。挑戦することに年齢は関係ないという前向きな確信は、今や会員たちの共通の誇りとなっている。
 人生100年時代、年齢を重ねてもなお自己実現を追求し、仲間とともに地域を支える「女性パワー」。彼女たちの力強い歩みは、これからも門真の街に、温かな活力と笑顔の輪を広げていくことだろう。

大阪・関西万博のステージでパフォーマンスを披露した会員ら
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