【この習慣で対人関係はうまくいく!①】人の心を開く『自己開示』 人の心を閉ざす『自己呈示』

コミュニケーションライター/黄本恵子

対人関係

 他者とのコミュニケーションにストレスや疲れを抱えやすい人は、「人にどう思われるか」を気にしすぎて、本来の自分を必要以上に隠してしまっていることが多いようです。

 ですが、自分から心を開かずに他人と打ち解けるのも、ちょっと難しいと思います。

 他人と心の距離を縮めるのが上手な人は、『自己開示』をしています。自己開示とは、飾らないありのままの自分の情報を相手にさらけ出す、打ち明けることです。特に、苦手なこと、ダメなところや欠点、失敗話などは、心の距離がぐんと近づきます。

(例)

「連休は何もしないでずっと海外ドラマ見てて、家族に呆(あき)れられました」

「資料を作るセンスがなさすぎて、実は会議の時いつも憂鬱(ゆううつ)なんだよね」

 自己開示をすると、「この人にもこんな一面があるんだ」「自分と同じような思いを抱いているんだな」と思ってもらえて、安心感と親近感が増すのです。

 また、相手も心を開き、「実は自分も…」と、胸の内を打ち明けてくれることが多くなります。これを『自己開示の返報性』と言います。自己開示をしてくれた相手には、自分も同じように返したいと思う気持ちが心理的に働くのです。

 一方、自分の印象を良く見せようと意図的に振る舞うこと、自分の長所・実績・特技・能力などをアピールすることを『自己呈示』と言います。

 自己呈示をしてしまうのは、「人に弱いところを見せたら、舐められる」「本当の自分を見せたら、嫌われる」というような固定観念を強く持ってしまっている場合が多いようです。自分を大きく見せることで、自分への自信のなさをカバーしていることもあります。

 自己呈示は、 相手に良く見られるどころか、緊張感を与えてしまいます。「あの人といると、なんだか疲れるな…」と思われることも多くなります。

 人に良く見られたいという欲求は多少なりとも誰もが持つものですが、そこだけをアピールしても、人間関係で良い影響はあまり生まれないのです。

 長い時間(期間)を過ごさなければならない仲間たちとの間では、互いに心を開いて話をし合える関係性の方が、ストレスが少なく、各々が自分らしく活動することができます。

 自己紹介では、特技や趣味などの自己PRだけでなく、自己開示も入れてみましょう。雑談は、自己開示で話が盛り上がり、打ち解けた雰囲気になることが多いです。社内報やブログなどで自分のことを書いて周りの人に読んでもらう機会がある場合、ダメなエピソードや失敗話、欠点だと思うところを入れてみて下さい。自己開示がある文章は魅力が増します。あなたに対する周りの見方もきっと好意的に変わるでしょう。

 自己開示をしていくと、そのうち自分のマイナス面だと思っていたところが不思議とそれほど気にならなくなってきます。

 また、意外と他人は自分のダメなところや欠点を受け入れてくれることも分かります。そうすると、自分も他人のことを受け入れられるようになります。コミュニケーションがより円滑に、そして楽しくなっていくでしょう。

黄本恵子さん

黄本恵子(きもと けいこ)大阪市出身。1980年生まれ。関西大学社会学部卒業。心理学について学びを深め、人間関係に悩む人々のカウンセリング業務に従事。その経験を活かし、家族間や男女間のコミュニケーションについての記事を大手WEBマガジンにて執筆。ビジネス書の編集・執筆協力にも多数携わる。米国NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー。
〈メディア出演〉ニュース番組『新・情報7daysニュースキャスター』に出演。「高齢者の親に免許返納を促す伝え方」についての記事が反響を呼び、取材を受ける。朝の情報番組『ビビット』に出演。「2歳児ができること」について紹介した記事が取り上げられる。