
大阪・天満に新たなイノベーション拠点が誕生
多様な産業が集積し、ものづくりの土壌が豊か。国際的なビジネスの拠点としてのポテンシャルも高い大阪・天満に、クリエイティブ・コミュニティ「FabCafe Osaka」が4月にオープンする。一体、どんな施設なのだろうか。
世界と繋がり、ものづくりの推進や文化の掘り起こしを目指す「FabCafe」
「FabCafe」は2012年に東京・渋谷に誕生して以来、タイ、スペイン、フランス、メキシコ、マレーシアなど、世界中に拠点を広げるクリエイティブ・コミュニティとのこと。各拠点が連携し、新しいものづくりに取り組むクリエイターと共創しながら、その地域特有のものづくりや素材、テクノロジーを生かした多彩なプロジェクトを実現する。
世界13拠点目、国内6拠点目となる「FabCafe Osaka」で体験できること
同所のコンセプトは「L’Informe(アンフォルム)」とのこと。形式に縛られない美しさを追求する近代から現代の美術思想を取り入れた体験を提案する施設として、地域の歴史や文化に眠る価値を再発見し、形を持たない「感性」や「情緒」をテーマとする新しいカルチャーの創造を目論んでいる。

一例が「蒸留機」の導入。原油の精製や香水の製造の過程に用いられる、混ざり合ったものを分離し、本質を抽出する「蒸留」の技術を、創造のプロセスとして取り入れることで、見えないものを可視化し、捉えきれない感覚や情緒を探求する。香りを活用した飲食の提供や、感覚を刺激する体験を通して、来場者が感性や情緒を育み、新たな可能性を発見できる機会を創出する。その目的において「蒸留機」はただの道具ではなく、発見のためのメディアとなり、アンフォルムな体験を促すことだろう。

「FabCafe Osaka」事業責任者からのメッセージ

現代において、私たちは無意識のうちに固定された形式に縛られています。そんな中で、どのように「アンフォルム(L’Informe)」という概念を持ち込み、新たな視点を生み出せるのか。それが、街づくりに関わる機会が増えたロフトワークにとっての重要な問いです。
私たちは、対象とする街のどこにまなざしを向け、何を大切にし、どんな新しい価値を持ち込むのか。この選択こそが、クリエイティブの力を発揮できる場面だと考えています。
大阪は、古くから品格を持ち、民間の力によって文化やインフラを発展させてきた街です。自らの手で大阪の文化をより良くしようとする精神が、街の成長を支えてきました。私たちは、この「品格と知性にあふれる大阪」というあり方を大切にしながら、現代において必要な「アンフォルム」を「FabCafe Osaka」で探求していきます。(ロフトワーク プロデューサー/FabCafe Osaka 事業責任者 小島 和人)
「FabCafe Osaka」のアンフォルムな思想は、活動だけでなく、建築にも取り入れられている。「淀川の浄水発生土」を活用しての、壁への土の吹き付け加工もそのひとつ。オープンを目前に控えた今、着々と準備が進む。詳しくは、https://fabcafe.com/jp/osaka/へ。