【男と女は異星人!?⑤】働きたい〝妻〟を邪魔する〝夫〟

コミュニケーションライター/黄本恵子

働きたい〝妻〟を邪魔する〝夫〟

 女性は、結婚・出産・育児で、一時的に仕事など中断せざるをえない状況になることがあります。 そんな女性が再び社会で活動していこうと思う時、家族の応援が得られず、辛い思いを抱くことは 少なくありません。特に多いのが、夫の反発です。
 夫から「なんのためにそんなにがんばるの?」「騙されているんじゃないの?」「それって君が やらなくちゃいけないことなの?」「子どもや家のこと疎かにしてまでやる価値ある?」など言 われたという話をよく耳にします。

 一方で、こんな素敵なエピソードもあります。私の知人女性Mさんのお話です。Mさんは臨床心理士です。Mさんがこの職業を目指し始めたのは、なんと40歳を過ぎてから。臨床心理士になるために大学院受験をしようとする際、義母からは「○○くん(Mさんの息子)が大事な時期に、 あなたが勉強してどうするのよ」、娘からは「いい年したおばさんが今さら勉強してどうなるの!?」と言われ、とても落ち込んだそうです。
 この時、味方になってくれたのはMさんの夫でした。「僕も勉強したいからうらやましいな。応援するよ」と言ってくれたそうです。
 「夫のこの言葉には救われました」というMさん。また、家事を 積極的にやってくれたりなど、色々サポートもしてくれたそうです。
 お話を聞いて、妻のやりたいことを応援できる夫って、とても素敵だなと思いました。仕事や目標に向けてがんばろうとしている時に夫からかけてもらえるプラスの言葉って、後々になってもずっと心に残るのではないでしょうか。

家族の変化は怖いもの

 なぜ夫は、家族は、やりたいことを応援してくれないのでしょうか?
 人は身近な存在の変化を本能的に恐れます。変化ってストレスの原因でもあるのです。家族に対しては「一緒にいてほしい」「離れてほしくない」「今まで通りでいてほしい」「普通でいてほ しい」という思いがより強くなるので、反発・抵抗することで引き戻そうとするのですね。
 『男は外でお金を稼ぎ、女は家を守るもの』という固定観念を強く持っている男性もいます。こういう男性は、妻が仕事に精を出すことが理解できず、より強く反発します。「大黒柱としての自分の立場が脅かされるのでは…?」という恐れもあるでしょう。

 妻側としては、これらのことを考慮し、家族がなるべくストレスを感じなくて済むよう、コミュニケーションをとることが大切です。例えば、「忙しくても家族のことは何より大切に思っているよ」ということをこまめに伝える、日頃カバーしてくれていることや助けてくれていることに目を向けて感謝の気持ちを伝える、などです。
夫側としては、妻のやろうとしていることに不安・不満もあるでしょうが、反発するより〝妻の一番の応援団〟として支える方が、夫婦仲に良い影響があることは間違いありません。
 『男は外でお金を稼ぎ、女は家を守るもの』という前時代的な価値観を持っているなら、今後ますます周囲とのあつれきは増すばかりではないでしょうか。新しい価値観を受け入れ、共存していくことが大切です。

コミュニケーションライター/黄本恵子

黄本恵子(きもと けいこ)
大阪市出身。1980年生まれ。関西大学社会学部卒業。心理学について学びを深め、人間関係に悩む人々のカウンセリング業務に従事。その経験を活かし、家族間や男女間のコミュニケーションについての記事を大手WEBマガジンにて執筆。ビジネス書の編集・執筆協力にも多数携わる。米国NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー。
〈メディア出演〉ニュース番組『新・情報7daysニュースキャスター』に出演。「高齢者の親に免許返納を促す伝え方」についての記事が反響を呼び、取材を受ける。朝の情報番組『ビビット』に出演。「2歳児ができること」について紹介した記事が取り上げられる。