「賃上げ回答」好調 7%以上の満額回答は一部の優良企業

経営統合して初めてベースアップした大丸

13日に大手企業の集中回答、注目

 2024年の春闘がスタートし、優良企業では早くも「満額妥結」「過去20年で最大」など労働側にとって満額回答が寄せられている。ただ、3月13日の大手企業の集中回答日を控え、岸田首相が要請する「賃金が物価に追いつく賃上げ」の成否が注目される。多くの企業が好回答を連発しているが、中小企業ではやや渋いもよう。賃上げが社会全体に広がるか注目される。

 すでに回答した大手企業は好調だ。ヤマハ発動機は24年度入社からの初任給を総合職で大学卒の場合、現行の月額22万7900円から同25万円へと9・7%の増加となる。ホンダは労組要求の2万円に加え、22年の労使交渉で妥結した研修関連の費用1500円を加えた計月2万1500円の賃上げで、1989年以降で過去最大だ。

 大丸松坂屋百貨店は基本給を一律で底上げするベースアップ(ベア)を月額で2万円を実施。ベアは2007年に大丸と松坂屋が経営統合して以降初めて。

 酒類業界ではサントリーがベアを含む7%の賃上げで妥結。ベースアップ(ベア)は月額1万3000円で、過去20年で最も高い。キリンやアサヒビールもベアを含む6%の賃上げを表明。

外食産業 待遇改善進む

 松屋フーズは初任給の引き上げのほか、ベースアップと定期昇給をあわせて過去最高の109%の賃上げを決めた。

 モスフードは4月に正社員や嘱託社員約650人を対象に定期昇給とベアを合わせた賃上げ率は平均約8%、ベアの実施は今回が初めて。

 日本マクドナルドは、正社員約2500人を対象に定昇とベアで平均4%の賃上げを実施する。

 イオンモールはパート従業員の時給を7・01%引き上げ、時給の引き上げ額は83・5円。正社員の組合員は、7・73%の賃上げを実施。

過去最高の賃上げ要求

 中小企業などの労働組合でつくる「ものづくり産業労働組合JAM」は3月1日、今春闘で基本給を底上げするベアの要求基準を「1万1693円」と発表。1999年の結成以来、過去最高の賃上げ実現を目指している。中小企業の賃上げがどこまで実現できるのか、期待されている。