災害や有事に備える「安全な空気」の確保が、国土強靱化の新たな課題として注目されている。大阪にも拠点を構えるヤブシタグループ(札幌市)内で、シェルター向け換気システムを手掛けているプロテクトアーツ(同市)がこのほど、レジリエンスジャパン推進協が主催する「第12回ジャパン・レジリエンス・アワード(強靱化大賞)2026」で最優秀賞を受賞した。

同賞は強靱な国づくりや地域づくり、産業づくりに役立つ先進的な技術開発や製品開発、活動を表彰する制度。同社が開発する緊急シェルター用換気システム「ATバリア」による有事や災害時の人命保護と安全な空間確保に向けた取り組みが評価された。
ATバリアはシェルターや避難施設など閉鎖空間での使用を想定した空気浄化システム。外気を取り込み放射性物質や生物兵器による汚染を浄化するだけでなく、粉じんやPM2.5、花粉、臭気、ガス状物質なども段階的に除去する仕組みを備える。平時の空気浄化にも活用できる点が特徴だ。
主力機種の「ATバリア150」は自治体や公共施設、防災シェルター、企業のBCP拠点などを想定。小型の「ATバリアLite」は公共施設やオフィスに加え、住宅などにも導入しやすく、停電時には手回し運転で最低限の換気を継続できる。

同社の換気装置が注目される背景には、防災への考え方の変化がある。これまでは災害発生後に避難所へ移動する対策が中心だったが、有事などが起きれば外気が汚染されることから近年では一定時間、安全な空間にとどまるための備えが問われている。政府も武力攻撃を想定した避難施設の確保に向け、関係府省で連携して取り組みを進めている。
「避難施設やシェルターは建物の強度や備蓄だけでなく、安全な空気も欠かせない。密閉空間では換気が不十分になると臭気や粉じん、感染症リスク、心理的なストレスが課題となる。このため、弊社では空気の防災に早くから目をつけ、国内製造での供給体制と保守性を重視して開発を進めてきた」と話す小熊正輝社長。
高市政権でシェルター整備の議論が本格化している中、避難先だけでなく、その場所で人が安全に呼吸できる環境をどう整えるかも、次の防災インフラの焦点になりそうだ。
