塩野義製薬(大阪市)は8日、米国政府と感染症治療薬に関する契約を結んだと発表した。抗生物質が効きにくくなる「薬剤耐性菌」への備えを強化する狙いで、米国の公衆衛生対策の一環となる。
契約は、同社の米国子会社が、米保健福祉省の研究開発部門である生物医学先端研究開発局(BARDA)の制度「Project BioShield」を通じて締結した。初期段階で約1億1900万ドルの資金提供を受け、将来的には最大4億8200万ドル(約762億円)まで拡大する可能性がある。
対象となるのは、同社が開発した抗菌薬「セフィデロコル」。細菌感染症の中でも治療が難しいグラム陰性菌による肺炎や尿路感染症などに使われる薬で、米国ではすでに承認されている。
今回の契約により、同社は米国内での医薬品の製造体制を整えるほか、供給網の強化や政府向けの調達支援を進める。また、バイオテロなど国家的リスクとなり得る細菌への効果を高めるための研究開発や、子ども向け治療への適用拡大も目指す。
「Project BioShield」は、化学・生物・放射線・核といった緊急事態に備え、医薬品の開発や確保を進める米国の政策。今回の取り組みは、こうした国家レベルの危機管理の一環として位置付けられる。
近年は抗生物質が効かない細菌が世界的に増えており、これを「薬剤耐性」と呼ぶ。治療が難しくなることから、国際的な課題となっている。同社は米国での研究体制の強化や企業買収などを通じて、この分野への対応を進めてきた。
今回の契約を通じ、同社は米国市場での事業拡大とともに、感染症対策への貢献を一段と強める方針だ。
