日本銀行は1月8日、地域経済の現状をまとめた「地域経済報告(さくらレポート)」(2026年1月)を公表した。四半期ごとに開く支店長会議に向け、全国9ブロックの経済金融情勢を、各地の企業ヒアリングなどを基に整理したものだ。公共投資や設備投資、個人消費、雇用・所得などについて、3か月前と比べた景気の変化を示している。
近畿地域の景気について日銀は、「一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかに回復している」との判断を示した。輸出や生産は横ばい圏内で推移している。設備投資は増加しており、個人消費は一部に弱さを残しつつも、緩やかな増加基調にある。雇用・所得環境は緩やかに改善している。
需要項目別にみると、公共投資、住宅投資はいずれも横ばい圏内で推移している。個人消費では、物価上昇の影響を受けながらも、全体としては持ち直しの動きが続いている。生産(鉱工業生産)は横ばい圏内で、鉄鋼や非鉄金属など一部業種に弱めの動きがみられる一方、生産用機械は堅調とされる。企業倒産は概ね横ばいで、金融面では、法人・個人ともに預金残高が前年を上回り、貸出残高も設備資金や運転資金需要を背景に増加している。
企業の声については、近畿全体の動向の中から、大阪に関わる事例を中心に拾った。公共投資では、国土強靱化計画に基づくインフラ更新や公共施設の老朽化対策工事が続き、「大型案件の発注が相次ぎ、工事請負金額は高水準を維持している」(大阪)との声が聞かれた。
輸出分野では、AI関連需要の拡大を背景に、「米大手IT企業向けのデータセンター関連機器の輸出が想定を上回っている」(大阪・電気機械)とする声がある。米国の関税引き上げについては、「値上げにより一定程度は吸収できている」(大阪・生産用機械)との見方が示される一方、「追加の価格転嫁は競合先の動向を見極める必要がある」(大阪・電気機械)と慎重な声も出ている。
設備投資では、人手不足を背景に、生産現場の自動化や省人化を進める動きがみられる。生成AI需要を見据えた能力増強投資や研究開発投資、先端技術を持つ企業のM&Aに前向きな姿勢を示す大阪企業もある。一方、建設コストの上昇を受け、「国内での新規出店は採算が合わず、海外展開を強化する」(大阪・飲食)といった判断も聞かれた。
個人消費では、「消費の二極化が進む中でも既存店売上高は増加している」(大阪・スーパー)とする声がある。観光分野では、大阪・関西万博の閉幕後もインバウンド需要は引き続き好調で、観光施設の入場者数は曜日を問わず高水準で推移している(大阪・観光施設)。円安を背景に、訪日客の消費単価が上昇しているとの受け止めも示された。
雇用面では、収益が堅調なもとで、「物価上昇率を上回る賃金改定を2026年度も続ける」(大阪・電気機械)とする声や、人材確保を目的にメリハリのある賃上げを検討する動きがみられる。
日銀は先行きについて、各国の通商政策の動向や海外経済・物価を巡る不確実性が、地域経済に与える影響を注視する必要があるとしている。
詳しくは、日本銀行「地域経済報告(さくらレポート)」(2026年1月)を参照。
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer260108.pdf

