
1951年6月15日に信用金庫法が公布されたことから、6月15日は「信用金庫の日」とされている。この日、全国の信用金庫では地域貢献の一環として、献血や清掃、募金活動などを実施。地元の中小企業や地域住民を支える信用金庫の姿勢が改めて注目される日でもある。
一般的に、信用金庫と銀行の違いを即答できる人は多くない。信用金庫は地域の相互扶助を目的とした非営利法人であり、営利法人として利益を追求する銀行とは成り立ちが異なる。営業エリアも制限されており、主に地域の中小企業や個人を対象に、より地域に密着したサービスを展開する。
大阪府内には7つの信用金庫があり、各金庫が融資、預金、為替(かわせ)のような従来の金融業務にとどまらず、スポーツの振興やSDGsの推進など、地域密着型の幅広い取り組みを行っている。多方面で活躍する大阪の信用金庫にユニークな取り組みを聞いた。
紙幣早数えでギネス世界記録
2025年に創業100周年を迎えた北おおさか信用金庫(大阪府茨木市)は、記念事業の一つとして、紙幣の枚数を数える「札勘(さつかん)」のギネスに挑戦。役職員50人が1万枚の模擬紙幣を100枚の束に仕分け、8分2秒98のタイムでギネス世界記録に認定された。総合企画部の担当者は「一致団結して記録に挑戦することで、チームワークを高められた」と話す。

万博出展で「大阪のドケチ」を発信
大阪商工信用金庫(大阪府大阪市中央区)は大阪の中小・スタートアップ企業8社とともに、2025年大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオン「リボーンチャレンジ」に出展した。会場では「大阪のドケチが世界を変える!OSAKA DOKECHI TECHNOLOGY」と銘打って、脱炭素をテーマとした各社の製品、サービスや新技術を発信。出展は1週間にわたって行われ、休日には2万人を超える来場者で大盛況となった。

同庫は脱炭素社会の実現に向けて、毎年「信用金庫の日」に車やバイクでの移動を控えている。また「信用金庫の日」に来店した顧客に対して、SDGsにちなんだ「4色の花の種」をプレゼントするなど、環境問題に関する啓もう活動を積極的に行う。

中小企業と描く「未来の生活スタイル」
同じく万博に出展中の大阪シティ信用金庫(大阪市中央区)は、「未来の生活スタイル〜スマートルーム〜」をテーマに、支援する中小・スタートアップ企業38社とともに展示を実施。健康・快適・サステナブルな暮らしを実現する製品やサービスを紹介している。会場には、AIによる肌診断やアップサイクル家具など、先進性と実用性を兼ね備えた技術が並ぶ。担当者は「万博を通じ、大阪の中小企業の技術と魅力を世界に発信し、未来の基幹産業の創出につなげたい」と語った。
