▲記者団の質問に答える吉村知事
新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行による発熱外来の逼(ひっ)迫が懸念されている。厚生労働省は11月18日、同時流行対策の会議を開き、感染状況に関する3段階の判断基準を、「落ち着いている」から「同時流行の兆しが見える」に引き上げた。高齢者など重症化リスクの高い人に対し、発熱時の速やかな受診を呼びかけているが、懸念されるのが発熱外来の逼迫だ。大阪府は府内の全43市町村に臨時の発熱外来を設置する方針を打ち出している。臨時発熱外来は、休日・夜間急病診療所などに、地域の診療所などから医師や看護師を派遣して対応する。8日と15日の吉村洋文知事と記者との質疑応答から臨時発熱外来設置の取り組み状況を紹介する。
臨時発熱外来を必要とする背景には、狭いスペースやビル内で診察している診療所が少なくなく、診療所単体では感染拡大を防ぐゾーニングが困難なことがある。医療従事者や患者への感染を防ぎながら発熱外来へ対応するため、大阪府医師会と行政で検討していた。
―臨時発熱外来設置の議論は以前からあったが、どこに課題があり、今回は解決しているのか。
「何が難しいかというと人繰り。場所は確保できる。そこで医者や看護師にローテーションを組んでいただく。医師会の了解、協力を得て進めている。発熱外来の臨時施設を市町村に少なくとも1カ所、人口が多い市町村にはできるだけ複数(設置してもらいたい)」
大阪府では場所の確保として、休日・夜間急病診療所などを利用する方針。特に大阪市は人口が多く、医師会の一部からは、市内を複数のブロックに分けてブロックごとの発熱外来の設置や廃校跡地の活用などが提案されている。15日時点での進捗状況を聞いた。
―臨時発熱外来の状況は。
「どの市町村に何カ所かはとりまとめている最中。動かしている最中で、今の段階では上がってきていない」
新型コロナの感染拡大期の感染者数の増加スピードは経験済みだ。インフルエンザとの同時流行となれば、小児科医療が直撃を受ける。発熱外来の強化は喫緊の課題で、市町村の迅速な対応が求められる。