公民連携や地域リハビリテーションの先進自治体として知られている大阪府大東市。昨年、初当選した逢坂伸子市長は、理学療法士の資格を持つ職員として30年以上にわたって同市に勤務し、多くの市民が実践するご当地健康体操の考案者という一面を持つ。そんな逢坂市長に市の魅力と今後の方針について、話を聞いた。

1967年、大阪府生まれ。90年、大東市に入庁。全国で唯一の理学療法課に配属され、ご当地健康体操「大東元気でまっせ体操」を考案。厚生労働省・地域づくりによる介護予防推進支援地域アドバイザー、介護予防•日常生活支援総合事業の充実のための検討会委員などを歴任。2024年4月、同市⻑選で初当選。
─大東市の特徴は
大阪市の東側に隣接し、JR「住道」駅から快速・区間快速に乗れば「京橋」駅まで約9分、「北新地」駅まで約17分と都心部に直結する利便性を誇っています。神戸や宝塚方面へも電車1本でアクセスでき、通勤や通学、休日のお出かけに便利な立地です。その一方で、市の3分の1が山間部という自然豊かな環境も大きな魅力です。広大な緑地公園があり、空気もおいしい。都会と田舎の良いとこ取りをした、まさに「ちょうど良い街」と言えるでしょう。

北河内7市(大東・守口・門真・寝屋川・四條畷・枚方・交野)の中で、生産年齢人口(15〜64歳)の割合はトップ、自然増減率は第3位と、若くて勢いがある街です。
─「子育てするなら、大都市よりも大東市。」のブランドメッセージを掲げている
私自身も2人の子育てを経験しましたが、近年、女性が働きながら子育てができる環境作りが重要になっています。大東市では、さまざまな子育て支援が充実しており、2018年度の幼児健診では約93%の人が「今後も大東市で子育てをしていきたい」と回答しています。中でも好評を博しているのがJR住道駅前から市内の保育園に送迎を行う「送迎保育ステーション事業」です。「忙しい朝に30分ほどの余裕が生まれ、ありがたい」という声をいただいています。最長午後7時まで駅前の送迎保育ステーションでお預かりが可能なので、仕事が遅くなった時でもご安心いただけます。

また、妊娠中から子どもが18歳になるまで、スムーズで切れ目のない相談支援を行う子育てに関する総合窓口「ネウボランドだいとう」も開設しています。
─大東市は地域リハビリテーションの先進地としても知られている
もともとは1960年代に地域に住む障害児とその家族を支援する活動から始まりました。85年には市役所に全国で初の「理学療法課」が誕生しました。理学療法士といえば病院に勤務して機能訓練などを行うイメージが強いと思いますが、障害者や高齢者が地域で不自由なく生活できるよう、行政に専門職が入って道路や公共施設、学校のバリアフリー化に取り組んできました。「大東市では70年代に学校にクーラーが付いていた」と言うと皆さん驚かれますね。
他の自治体では支援学校に通わざるを得ないケースでも、大東市では障害のある児童・生徒一人一人に合わせて学校の設備を改修したり、支援体制を整えて校区の小中学校で受け入れてきました。市職員時代の私はこの支援を担当していたのですが、本市の取り組みを聞きつけて、家族で移住して来られる方々が多数いらっしゃいました。
─公民連携プロジェクトも話題を呼んでいる
老朽化した市営住宅があった約1㌶の市有地を民間企業が一体開発し、都市公園や木造低層の住宅、商業施設、オフィスからなる複合エリア「morineki」に生まれ変わりました。おしゃれなカフェ、ベーカリー、アパレル、アウトドアショップなどが入居し、若いファミリー層が集い、子どもたちが遊ぶ、新たなにぎわいの場になりました。周辺の地価が前年から1.25倍上昇するなどmorinekiの効果が街全体に少しずつ波及しています。

また、住道駅前で毎月最終水曜日に開催するナイトマーケット「大東ズンチャッチャ夜市」(主催:コーミン)は、毎回約3000人が訪れる一大イベントとして盛り上がっています。住道駅前のデッキに地元のお店を中心に約50店舗が出店し、フードやドリンク、雑貨などを販売します。普段は全く稼ぐことのない駅のデッキが一晩で数百万円を売り上げるマーケットになります。
少子高齢化、社会保障費の増大など地方自治体が直面する課題に対して、「公民連携」により新たな財源を確保することは、これからますます必要になってくるでしょう。

─住道駅前の再開発については
住道駅前で40年以上にわたって営業を続けてきた商業ビル「大東サンメイツ1番館」の跡地で大規模分譲マンション(286戸)の建設が進んでいます。多くの市民や沿線住民にとって思い入れがあり、駅直結で大変利便性の高い場所ですので、安全安心に加え、お買い物、子育て、遊びなど全てが整った住環境になることを大いに期待しています。

行政においても、住道駅前デッキの耐震補強を含む橋梁長寿命化工事の設計を進めています。このデッキは本市の玄関口であり、歩行空間としてだけではなく、市民の皆さんが集えるイベントの開催やにぎわい創出の拠点としてのあり方の検討が求められています。「愛着がうまれる、わたしの広場」をコンセプトに、市民の主体的な活動を誘発し、活気に満ちた場所になるよう、今後整備を進めていきます。

─大東市での暮らしを検討している人に、メッセージを
「morineki」でカフェやアパレル、雑貨店などを営むノースオブジェクトさんは、北欧をイメージしたライフスタイルを提案されている企業なのですが、本市の環境を気に入っていただき、四ツ橋のビルから本社ごと移転されました。「緑や自然に囲まれ、ゆったりとした時間の流れを感じ、〝豊かな暮らし〟を具現化するのに適した場所」と評価されています。
特に住道駅前は、生活に必要なものが徒歩圏にコンパクトにまとまっていて、皆さん口をそろえて「わざわざ都会に出る必要がない」と言われるほど便利な街です。都会と自然が良いバランスで共存する本市での暮らしをぜひ検討していただきたいですね。
