
大阪・関西万博の北欧館3階のイベントスペースで、日本で展開するスウェーデン企業によるプレゼンテーション「グリーントランスフォーメーション」が22日に開かれ、家具大手のイケアや自動車メーカーのボルボ、海外留学大手のEFなど10社が自社の取り組みや将来の展望を発表した。
イケアは日本法人代表のペトラ・ファーレ氏と、通訳を兼ねて関西マーケットマネジャーの足立知巳氏が講演した。同社が掲げるビジョンは「より快適な毎日を、より多くの方々に」。サステナビリティとアクセシビリティを両立させながら、循環型社会の実現に向けた挑戦を続けている。
創業者のDNA
同社の創業者イングヴァル・カンプラード氏は、同国南部のスモーランド地方という厳しい自然環境の中で育った経験から「少ないもので多くを生み出す」精神が根付き、これが同社のDNAとなり、今の事業戦略にも脈々と受け継がれているという。
ヒット商品の成り立ち
1950年代に導入した「フラットパック(分解梱包)」は、物流効率を高め、コスト削減と低価格の提供を実現した同社の代表的なイノベーション商品となった。同社の柱は、「よりお手ごろに」「より身近に」「より持続可能に」だ。たとえば、人気商品「BILLY(ビリー)本棚」は、1979年から販売されているロングセラーで、2022年には、組み立てや再利用がしやすいスナップ式の留具に改良され、組み立て・分解がしやすくなり、再利用性が向上した。
家具に〝第2の人生〟
さらに現在は、無料のスペアパーツ提供や、中古家具の買取・再販売を行う「サーキュラーマーケット」、店舗アウトレット品のオンライン予約サービス「サーキュラーマーケット オンライン」などを展開。2024年度だけでも世界中で約2460万点のスペアパーツが提供され、日本国内では約1万6000点の家具に〝第2の人生〟が与えられた。
ファーレ氏は、「〝新品の販売とサステナブル施策は矛盾するのでは?〟とよく質問されますが、私たちは逆に、循環型ビジネスモデルへの転換こそが、小売業の未来だと信じています」と話す。
イケアは今後も〝変革者〟として、未来のためのより良い社会づくりに貢献することを使命としていく。加えてファーレ氏は、「私たちは完璧ではありません。ですが、失敗を恐れず、挑戦を続けることが何より大切です」と述べる言葉には、同社の起業家精神が息づいていた。
■イケア・ジャパン/千葉県船橋市浜町2-3-30
■IKEA鶴浜/大阪市大正区鶴町2-24-55