外から見た日本連載

【外から見たニッポン】プログラマーはいらない Vibe Codingが変える未来

Spyce Media LLC 代表 岡野 健将

Spyce Media LLC 代表 岡野健将氏
【プロフィル】米ニューヨーク州立大ビンガムトン校卒業。経営学専攻。NY市でメディア業界に就職後、現地で起業。「世界まるみえ」「情熱大陸」「ブロードキャスター」「全米オープンテニス中継」などの番組製作に携わる。帰国後、ディスカバリーチャンネルやCNAなどのアジアの放送局と番組製作。経産省や大阪市等でセミナー講師を担当。文化庁や観光庁のクールジャパン系プロジェクトでもプロデューサーとして活動。

 Chat GPTの出現から急激に世界が変わり出しています。その変化に気づいている人は多くいると思いますが、実際にこれからどうなっていくかを予測できている人はどれだけいるでしょうか?

 「未来がどうなるのか」を理解するヒントになるかもしれないのが「Vibe Coding(バイブコーディング)」。AI(人工知能)に対して口頭ややさしい文章で指示を出すことで、プログラムやアプリケーションに必要なコードを書かせるプログラミング手法です。

 この手法を使うと、これまでコーディングの知識がある人しかできなかった業務を、知識なしで簡単にできるようになります。簡単になるだけでなく、口頭でAIとやりとりしながら改良したり、人の手で行っていた修正や確認もAIが自動で行ったり、キーボードすら使う必要がなかったり…。これまでのAIによるコーディングと比較してもかなり進化しています。VIbeは「雰囲気」や「空気感」という意味で「〇〇みたいな感じのアプリを作りたい」みたいな指示だけでコードが書けてしまうわけです。

 これまで50人でコードを書いていた作業が5人でできる時代になってきています。グーグルやアマゾンは30%、facebookを運営するMetaは50%のコーディングをすでにバイブコーディングで書いています。ホワイトカラーで稼ぎ頭だったプログラマーたちが大量失業する時代が目の前に迫ってきているのです。優れたプログラマーは必要なく、自由な発想と創造力のあるアイデアマンやプロデューサー的な人が、より求められる時代になっていくでしょう。

 また、簡単にプログラムやアプリが作れるようになると、それらに業務を奪われてしまうホワイトカラーの仕事も大量に発生します。人間は記憶力やスピードでAIに太刀打ち出来ません。AIができないことで人間が圧倒的に有利なのは、例えば大工仕事やごみ収集作業です。工場で自動車を作ったり、飲食店で調理したりする作業はすでにAI搭載のロボットが人間の代わりをしてくれています。人並みの知識や経験、能力でできることは、どんどんAIが代用していくのです。

 つまり、高等な思考力や人並み外れた創造性が必要になることや、逆に人が介在しないとできない1次産業のような行為、AIがまだ追いついていない優れた技術などの行為を行える人にならないと生き残っていけないような時代が、もうすぐそこまで来ているのです。

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