Spyce Media LLC 代表 岡野 健将

トランプ大統領が次々とトンデモ大統領令に署名し、世界が大混乱しています。
最も注目を集めているのは関税でしょう。すべての国や地域を対象に基本の関税率を設定し、一律で10%、日本には24%を課すとし、日本の政府や産業界は大騒ぎ。
これまでも合法的に国内に滞在していた移民を強制的に国外退去にしたり、反イスラエルのデモに参加した留学生のビザを無効にして追い出したり、大統領になる前にトランプを告訴した裁判で原告側についていた法律事務所に公的な建物への入場を禁止し、政府機関に取引の禁止を命じたりしました。
最後の法律事務所への報復は完全に私怨で、弁護士が裁判所に入れないと仕事になりませんし、「トランプににらまれている法律事務所」を敬遠するクライアントも出てくるから大打撃です。すでに数十億円から100億円超えの法的サービスを無料で提供することを約束することで、トランプに降参した法律事務所も。法の秩序が完全に乱されてしまっています。
関税も中国のように報復関税を設定した国もあれば、妥協案を提案して関税を取り下げてもらう国も出てきているようで、トランプとしては確実に〝勝利〟を積み重ねています。この現実からトランプは自身の政策が正しいと考えているに違いありません。
ここまでアメリカだけでなく、世界にとって悪いことばかりが起こっていますが、今後トランプはアメとムチの〝アメ〟の方を出していくと考えられています。
それは、所得税の大幅減税。例えば所得額が7万ドル以下(約1000万円)は所得税をゼロにするという大胆なものです。法人税も例えば、現行の半分などが考えられます。
こうすることで消費者の懐が潤い、消費マインドが戻ってくるし、暴落している株価も上昇するだろうと予測されています。
この上向きの流れが続いている間に、外国からの国内投資で建てられる工場などが稼働し、雇用の改善や賃金の上昇を生み出す、という世界を描いているのかもしれません。
トランプやトランプ政権、そしてアメリカにとっては理想的な形なのかもしれませんが、諸外国にとっては手放しで喜べる話ではありません。しかし、これで終わればまだ良いという話もあります。
勢いに乗ったトランプが中間選挙で大勝して、今度は憲法で制限されている大統領職の3選を目指すとも言われているのです。それが実現するとトランプは完全にプーチンや習近平と同じような独裁者になってしまうかもしれません。
これからも目が離せない大統領です。