
大阪市は2月14日、2025年度一般会計当初予算案を発表した。一般会計の総額は2兆309億円で、前年度比0・7%増の過去最大規模となる。万博関連事業や子育て支援、介護予防を中心とした社会保障施策が柱だが、収支不足が続き、財政調整基金を取り崩す形で対応する。
横山市長「経済成長の成果を市民サービスへ還元」
歳入では、市税収入が過去最高の8532億円を見込み、定額減税の終了や企業収益拡大が寄与。一方、歳出では扶助費が7728億円と10・8%増加し、障害福祉や保育料無償化施策が主要因となっている。歳入から歳出を差し引いた収支では150億円のマイナスが生じ、貯金にあたる財政調整基金から補填する見通しだ。
大阪・関西万博関連では304億円を計上。市内在住の4〜17歳を対象に何度でも入場可能な「夏パス」配布に13億2600万円、パビリオン運営費に17億5100万円を盛り込んだ。
さらに、スタートアップ支援施設の拡充やイベント開催費用に1億2800万円を計上し、万博を契機とした経済成長を目指す。
子育て支援では、0〜2歳児保育料の無償化に向けた施策に注力。民間保育所整備に82億9300万円、保育人材確保に97億300万円を割り当てた。
企業主導型保育施設も26年度に無償化対象とする計画で、システム改修費用に6900万円を投じる。
また、介護保険料が全国で最も高かったことを受け、介護予防事業費として4億9400万円を計上。歩数目標達成でポイントが付与されるアプリや高齢者向け教室を展開し、健康促進を図る。
公共事業費は11・9%減の2259億円だが、持続可能なインフラ整備を重視。上下水道の耐震化や都市整備に計29億8000万円を投入する計画だ。
横山英幸市長は「万博を一過性のイベントに終わらせない。経済成長の果実を市民がサービスとして享受できるよう、流れを加速したい」と述べた。
■新年度の主な事業と予算
【万博関連】
●国際博覧会推進 202億8,500万円
パビリオンの運営、賓客の受け入れ、SNSを活用した来場促進 など
●万博成功に向けた取り組み 101億8,600万円
主要エリアの環境整備や景観向上、ライドシェア推進、来場者の安全対策 など
【子育て】
●0~2歳児の保育無償化 34億9,900万円
●民間保育所等整備 82億9,300万円
●保育人材の確保対策 97億300万円
●子育て応援ヘルパー派遣 4億1,000万円
●乳児等通園支援(こども誰でも通園制度) 5億4,700万円
【福祉】
●認知症専門の新医療・介護施設 36億7,300万円
●介護予防推進への取り組み 4億9,400万円
【DX】
●AIによる高齢、障がい者支援や多言語翻訳の導入など区役所のDX化 4億7,600万円
