【外から見たニッポン】コミュニケーションスキルは重要

Spyce Media LLC 代表 岡野 健将

Spyce Media LLC 代表 岡野健将氏
【プロフィル】 State University of New York @Binghamton卒業。経営学専攻。ニューヨーク市でメディア業界に就職。その後現地にて起業。「世界まるみえ」や「情熱大陸」、「ブロードキャスター」、「全米オープンテニス中継」などの番組製作に携わる。帰国後、Discovery ChannelやCNA等のアジアの放送局と番組製作。経産省や大阪市等でセミナー講師を担当。文化庁や観光庁のクールジャパン系プロジェクトでもプロデューサーとして活動。

 岸田首相がアメリカの国会で、英語によるスピーチを行いました。驚く事に日本の国会での日本語のスピーチよりも上手に話されていました。台本があるとは言え、英語でジョークを飛ばして笑いを取ったり、抑揚をつけたり話すペースを変えたりしながらのスピーチには感心しました。

 なぜあれが日本語ではできないのか不思議です。日本語でのスピーチでは笑われることはあっても笑いを取る事などなかったのではないでしょうか?

 アメリカでは政治家にとって人前でどれだけ上手に話ができるか、聴衆を魅了できるかが非常に大事で、これができないと選挙に勝って政治家にはなれません。

 人前で上手に話す、というのは政治に限った事ではなく、ビジネスをする上でも重要な能力です。それは頭がいいと言う事だけではなく、コミュニケーション能力が高く、ストーリーを構成する能力や人をひき付ける話し方なども身につけていると言う事。

 リーダーシップを取る様な人は、子供の頃から人前で話をしたり、スムーズなコミュニケーションを取るためのスキルを自然と身につけています。大学在学中に最も重要で必ず身に付けないといけないと言われたスキルも「コミュニケーションスキル」でした。そのため、大学では頻繁に個人やグループでのプレゼンテーションをする課題が与えられて、強制的に人前で話をさせられました。

 私はアメリカで生きて行くには高いコミュニケーション能力が必要だと思っていたので、英語の勉強よりも英語で話をする、相手に自分の意図を伝え理解してもらう、相手に自分の考えを受け入れてもうら、という「コミュニケートする」ためのスキルや能力を磨く事にかなり力を注ぎました。「パブリックスピーキング」という人前でスピーチをするためのスキルを身に付ける授業を受講したときは、話し上手なアメリカ人のクラスメートのプレゼンテーションを聞く度にプレッシャーで胃の痛くなる思いをしていました。

 「パブリックスピーキング」という授業は他のどの授業よりも私にとって価値のある授業でしたし、そこで学んだスキルがその後どれだけ役に立っているか計り知れません。日本の大学でもこの様な授業を積極的に取り入れてもらいたいです。これまで多くの優れたスピーチを見聞きしてきましたが、ダントツに上手だと思ったのはヒラリー・クリントンでした。彼女の話し方やスピーチスキルは群を抜いていると思います。大統領まで上り詰めようという人物なだけはあります。直接話をすると少しいけ好かないところはありましたが…。

 コミュニケーションスキルは、どんな仕事をしていても、どんなライフスタイルであっても役立つスキルです。それなのにその大事なコミュニケーションスキルが大きく欠如している人が近年増加傾向にあると感じます。

 より良い生活、よりスムーズな社会生活を送るためにも、コミュニケーションスキルを身につけることは必須なので、苦手と思っている人はぜひ身に付ける努力をしてください。きっと人生が変わります。