【この習慣で対人関係はうまくいく!⑥】相手が気持ちよく動いてくれる頼み方

コミュニケーションライター/黄本恵子

相手が気持ちよく動いてくれる頼み方

 仕事やビジネスでは、他の人に上手に頼むことができれば、物事をスムーズに、効率よく進めることができます。

 とはいえ、「頼むのってどうも苦手…」という人は少なくないようです。

 今日は、相手が気持ちよく動いてくれる頼み方を3つご紹介します。

IメッセージとYOUメッセージ

 職場の仲間に資料を作ってもらいたい場合、「この資料作ってください」というストレートな伝え方では、相手の心のブロックが起動しやすくなります。

 「この資料作ってください」という伝え方を主語を明確にして表すと「(あなたは)この資料を作ってください」になります。

 このように「あなた」が主語になる伝え方を『YOU(ユー)メッセージ』と言います。YOUメッセージは命令や強制・指示のニュアンスが強く、心理的抵抗を招きやすいのです。

 次のように言い換えてみましょう。

【例】
 「この資料を作ってください」
  ↓
 「この資料作ってもらえると助かります」

 この伝え方の主語を明確にして表すと、「この資料作ってもらえると(私は)助かります」になります。このような「(私は)~助かります」「(私は)~うれしいです」という「私」が主語になる伝え方を『I(アイ)メッセージ』と言います。

 Iメッセージは、自分の考えや思いを述べているだけ。命令や強制・指示のニュアンスは一切ありません。相手の心理的抵抗を招きにくく、頼み事を受け入れてもらえる可能性が高くなります。

特別感を持たせる

 少し難易度が高い仕事を頼みたい場合は、「あなただからこそ」「あなたにだけ」という『特別感』を持たせて頼んでみましょう。

【例】
 「来月の役員会議の進行係お願いします」
  ↓
 「来月の役員会議の進行係は、場をまとめるのがいつも上手な◯◯さんにお願いします」

 特別感を持たせることで、引き受けてもらいやすくなるだけでなく、仕事に対するモチベーションを高く持ってもらうことができます。

質問形を使う

 他部署や他会社とのやり取りの場合、「~してください」という指示的な伝え方では、「こっちの仕事(状況)のこと何も分かってないくせに…」と反発心を抱かせてしまう可能性がとても高くなります。
 こういう場合は、「~できますか?」という『質問形』に変えて伝えましょう。

【例】
 「このサンプル、もう少し柔らかい色にしてください」
  ↓
 「このサンプル、もう少し柔らかい色にできますか?」

 質問形にするだけで、相手の仕事に対する敬意や配慮が伝わります。相手の反発心が減り、要求を受け入れてもらえることが多くなります。

 人は誰しも「誰かの役に立ちたい」「喜んでもらいたい」という欲求を潜在的に持っているもの。

 引き受けてもらえた時、要求を受け入れてもらえた時は、心からの感謝の気持ちを伝えることも忘れないようにしたいですね。「○○さんの役に立てて良かった」と、より思ってもらえるのではないでしょうか。

黄本恵子(きもと けいこ)さん

黄本恵子(きもと けいこ)
大阪市出身。1980年生まれ。関西大学社会学部卒業。心理学について学びを深め、人間関係に悩む人々のカウンセリング業務に従事。その経験を活かし、家族間や男女間のコミュニケーションについての記事を大手WEBマガジンにて執筆。ビジネス書の編集・執筆協力にも多数携わる。米国NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー。
〈メディア出演〉ニュース番組『新・情報7daysニュースキャスター』に出演。「高齢者の親に免許返納を促す伝え方」についての記事が反響を呼び、取材を受ける。朝の情報番組『ビビット』に出演。「2歳児ができること」について紹介した記事が取り上げられる。