
自分の心と向き合うレッスン(人間関係コラムニスト/黄本恵子)
人は、自分が思うよりもずっと、思い込みに縛られて生きています。
「長男(長女)なのだからガマンしなければいけない」
「他人は裏切るから信用してはいけない」
「がんばらない自分には価値がない」
こうした思い込みは、親など影響力のある人から受け継いだものもあれば、過去の体験を通して自分の中に根づいたものもあります。そして、それらは無意識に私たちの考え方や行動、人間関係に大きな影響を与えています。
人の考え方や行動に影響を与える、このような思い込みを、『ビリーフ(信念)』と言います。
ビリーフは、私たちを守り導いてきてくれたという側面もあります。ただ、もし今、人間関係でつまずいていたり、日常生活で息苦しいと感じることが多かったりするのなら、そのビリーフが「今の自分」に本当に必要なのかどうかは、改めて見直してみてもいいかもしれません。
私の友人の例をご紹介します。親の強い希望で大企業に就職したAさんは、安定した職に就きながらも、やりがいを感じられず、大きなストレスを抱えて毎日過ごしていました。それでもAさんは、「大企業にいれば人生は安泰だ」「一度勤めた会社は一生続けるものだ」というビリーフに縛られ、自分の本当の気持ちにフタをしていました。
あるとき、Aさんは、自分のビリーフを見直してみました。すると、「大企業にいれば人生は安泰だ」「一度勤めた会社は一生続けるものだ」と思い込んでいたときには見えなかった未来が、少しずつ見えてきました。小さい頃に親から言われたことを信じていただけで、周りを見渡せば大企業を辞めても暮らしていけている人はたくさんいるということ。
自分が仕事を辞めても、生活は夫の給料だけでもなんとかなること。今の仕事を辞めると、仕事のストレスが減り、心に余裕が生まれる可能性があること。子どもたちとの時間が増える可能性が高いこと。このまま今の仕事を続けていく自分を想像したとき、前向きな気持ちや希望が持てない自分がいたこと。
Aさんは、現在、仕事を辞め、20代の頃から得意だった絵を描くことを仕事にし始めました。大企業のように安定してはいないものの、精神的に充実した毎日を送っています。
あなたの中には、どんなビリーフがありそうですか?自分を縛っているビリーフに気づき、見直すために、次の質問を自分にしてみましょう。
●ごく一部の人の話(親など)や経験を、すべてだと思い込んでいない?
●例外は本当にひとつもない?
●そのビリーフは、今の自分を助けている?それとも苦しめている?
●もし、そのビリーフを手放したら、何が変わる?
●このまま、そのビリーフを持ち続けたら、どうなる?
あなたを縛っているものは、『変えられない事実』ではなく、『自分の中でいつのまにか真実になっていた思い込み』かもしれません。まずは、そのことに気づくことから始めてみてください。

.jpg)
大阪市出身。1980年生まれ。関西大学社会学部卒業。心理学について学びを深め、人間関係に悩む人々のカウンセリング業務に従事。その経験を活かし、家族間や男女間のコミュニケーションについての記事を大手WEBマガジンにて執筆。ビジネス書の編集・執筆協力にも多数携わる。米国NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー。
〈メディア出演〉ニュース番組『新・情報7daysニュースキャスター』に出演。「高齢者の親に免許返納を促す伝え方」についての記事が反響を呼び、取材を受ける。朝の情報番組『ビビット』に出演。「2歳児ができること」について紹介した記事が取り上げられる。
