製造業では、原材料や塗料、洗浄剤など、さまざまな化学物質が使われています。適切な管理を怠れば、火災や中毒、健康障害などにつながるおそれがあるため、企業には従業員の安全を守るための確実な情報管理が求められます。
そこで重要となるのが「SDS」です。SDSとは「Safe
ty Data Sheet(安全データシート)」の略で、化学物質のいわば「取扱説明書」です。化学物質の名称や危険性・有害性のほか、応急措置、取扱方法、保管・廃棄方法など、安全に取り扱うために必要な情報が記載されています。
労働安全衛生法では、対象となる危険・有害な化学物質を譲渡・提供する際に、SDSによる情報提供が義務付けられています。近年は対象物質の拡大など、事業者による「自律的な化学物質管理」が強化されており、SDSを正確かつ効率的に取り扱うことは、安全確保だけでなくコンプライアンスの観点からも重要になっています。
こうした企業を支援するのが「SDS電子化補助金」です。本補助金は、労働安全衛生法に基づくSDSの受入、作成、提供を事業として行っている企業に標準フォーマット形式の導入を促し、SDSによる危険性・有害性情報等の迅速・適格な通知を図ることを目的としています。
補助対象となるのは、厚生労働省が公表した標準フォーマットに対応するためのシステムの新規導入や機能追加、SDS標準化に必要なオプション、保守費用・使用料などです。
対象は一定の要件を満たす製造業等、卸売業、サービス業、小売業の中小企業者で、補助率は2分の1、1申請者当たりの上限は100万円です。
申請にあたって注意したいのが、システム導入のタイミングです。交付決定通知日より前に導入したシステムは補助対象になりません。また、リース契約、ライセンス契約、保守契約等については、交付決定後かつシステム導入後の費用が対象です。本年度を含む3年分(36カ月分)を事業実施期間中に前払いすれば、その全額を経費とみなし、補助対象とすることができます。
化学物質を扱う企業にとって、安全管理と法令順守は避けて通れない経営課題です。必要なシステム投資や継続的な利用費用の一部を補助金で賄うことができれば、コンプライアンス対応に伴う負担軽減につながります。SDSによる危険性・有害性情報を迅速かつ確実に伝える体制を整える機会として、本制度を活用してみてはいかがでしょうか。


なにわのみやコンサルティング増田昌代
1972年生まれ。立命館大学大学院経営管理研究科修了(MBA取得)、中小企業診断士。大手IT企業の経営企画室での経験を基盤に、複数業界でのキャリアを構築。東証上場企業の広報IR責任者を経て2024年に独立。データ分析に基づくWEBマーケティング戦略立案と各種補助金活用支援を得意とし、中小企業の持続的成長をサポート。
