神戸大学発のスタートアップ企業、インテグレーテッドヘルスサイエンス(兵庫県神戸市)は7月22日、疲労と老化に共通するメカニズムに着目し、健康寿命の延伸を目指す新たなプロジェクトを発足した。7月にグラングリーン大阪北館で開催した発足セミナーでは、疲労や老化に関する最新の研究成果を紹介するとともに、科学的根拠に基づいた健康長寿社会の実現に向けた取り組みについて説明した。
背景にあるのは、リカバリー(休養・抗疲労)市場の拡大だ。個人の健康意識や行動の変化に加え、ライフスタイルに根ざした製品・サービスの普及、企業による健康投資の強化などを背景に、市場が広がっているという。
同プロジェクトでは、従来の健康指標だけでは捉えきれなかった身体の回復力を「修復力(リペア力)」という新たな指標として捉え、その計測方法の確立と社会実装を目指す。日本人の約8割が疲労を感じているとされる中、「抗疲労」と「抗老化」を一体的に捉えることで、健康寿命の延伸につなげる考えだ 。

ミトコンドリアの活性化に注目
セミナーで注目を集めたのが、学習院大学理学部生命科学科の柳茂教授によるミトコンドリア研究だ。
ミトコンドリアは、細胞内でエネルギーを生み出す「エネルギー工場」とも呼ばれる細胞小器官。健康維持に重要な役割を担うとされており、その機能に着目した研究が進められている。
柳教授は講演で、マウスを用いた実験について紹介。「心機能の回復や脂肪肝の改善、アルツハイマー病やパーキンソン病における認知機能の改善が見られた」と説明した。
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腸内細菌の「菌のリレー」で精密栄養学
もう一つのテーマが、腸内環境と栄養だ。国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の國澤純副所長は、単に「体に良いもの」を食べるのではなく、個人差を考慮した「精密栄養学」の考え方を紹介した。
その中で提唱するのが、腸内細菌による「菌のリレー」。食物繊維などをもとに、糖の産生から乳酸・酢酸、さらに腸のエネルギー源や免疫調整に関わる酪酸の産生へとつながる過程を指す。
國澤副所長は、こうした「菌のリレー」をスムーズに進めるため、必要な栄養素をバランスよく摂取することが、科学的な腸活のポイントになると解説し、〝國澤流 腸が喜ぶ味噌汁の食べ方〟を紹介した。
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今後はバイオテクノロジーを活用しながら、企業や研究者と連携して健康寿命を延ばすための具体的なアプローチを社会に提示していく。疲労と老化を別々に捉えるのではなく、共通するメカニズムから考えることで、科学的根拠に基づく新たな健康づくりへの展開が期待される。

■インテグレーテッドヘルスサイエンス株式会社/兵庫県神戸市中央区伊藤街110-2 神戸ポートビル旧居留地 7階/イノベーション拠点:大阪市北区大深街6-38 グラングリーン大阪北館 JAM BASE 5階 JAM-OFFICE 5-D
