西区の地価、急上昇 「なにわ筋線」延伸計画と周辺開発まとめ

周辺の開発ラッシュで将来への期待が高まる

 都心にありながら、公園や緑が多く、「上質な都市生活が送れる」と人気の大阪市西区。地元では「なにわ筋線の開業でキタ・ミナミへのアクセスがさらに便利になる」と期待が高まっている。これから街はどう変わっていくのか。鉄道の延伸計画と周辺の開発をまとめた。

工事が進む西本町駅(仮称)周辺

地価上昇率府トップは西区

 9月17日に発表された大阪府の基準地価(7月1日時点)で、商業地は前年比7.3%増、住宅地も同2.0%増とそれぞれ3年連続の上昇となった。商業地の上昇率トップ10の顔ぶれを見ると、7つを大阪市西区が占めている。市区町村別でも同区は18.3%増でトップだ。

 背景には2031年に開業を控える「なにわ筋線」への期待感がある。同区内には、なにわ筋線の「西本町駅(仮称)」が設置され、グラングリーン大阪に直結するJR大阪駅の地下ホームへの乗り入れが可能に。同区民にとってはわざわざ心斎橋や本町を経由する必要がなくなり、梅田中心部へのアクセスが格段に向上する。さらに、新大阪や関西国際空港にも直結し、旅行などのお出かけがさらに便利になる。

 同区内にある大阪メトロ中央線「阿波座」駅からは大阪・関西万博の開催地「夢洲」にもダイレクトアクセスに。「夢洲」駅の開業が来年1月19日に決定し、いよいよ万博開幕のカウントダウンが迫ってきた。これらの要素に加えて、同区ではマンション需要が高く、「現在の地価はまだ割安」という不動産関係者の見方もある。

キタに新スポットが続々と

 続いて注目の開発について、キタから見ていこう。今年7月以降、キタに新スポットが続々と開業した。最注目は、JR大阪駅北側の「うめきた2期」(グラングリーン大阪)の一部が先行開業したことだ。25年春頃に南街区のオフィスやホテル、商業施設などのオープンが予定されている。27年春頃に公園全体が開園し、同年度中に全面まちびらきとなる。

グラングリーン大阪 ©Akira Ito.aifoto

 旧大阪中央郵便局の跡地を含む大阪駅西地区には、地上39階建ての「JPタワー大阪」が竣工。ビル内には商業施設「KITTE大阪」が開業した。大阪駅西側には新駅ビル「イノゲート大阪」が誕生し、梅田で働く現役世代をターゲットにした飲食店舗フロア「バルチカ03」が盛り上がりを見せている。

 30年春には大阪マルビルの建て替えが完了し、新しい施設が誕生予定。将来的には、大阪新阪急ホテルと阪急ターミナルビルを建て替え、阪急三番街の全面改修を行う「芝田1丁目計画」が予定されている。

ミナミも様変わり

 対するミナミも負けていない。「なんばパークス サウス」には日本初進出となるタイの高級ホテル「センタラグランドホテル大阪」、オフィス空間「パーク サウス スクエア」、「ホテル京阪 なんば グランデ」がオープンし、話題を呼んでいる。

 南海なんば駅周辺では歩行者天国化の工事が進行中。23年11月に「大阪のおもてなし玄関口」がコンセプトの「なんば広場」が誕生。25年3月にはなんさん通りを含めた駅周辺全体の整備が完成する。

整備が完了した「なんば広場」

 26年2月には、御堂筋と長堀通に面した「心斎橋」交差点の角地に地上28階建の複合施設が誕生する。16~28階にはヒューリックグループが運営する「ザ・ゲートホテル」が開業し、最上階には大阪の景色を一望できるルーフトップバーも設けられる。

心斎橋交差点に誕生する複合施設「(仮称)心斎橋プロジェクト」の外観イメージ

 31年頃には、「なんば広場」に近接する立地に、関電不動産開発と南海電気鉄道、大阪メトロが中心となり、高級ホテルや商業施設などを備えた高さ100㍍超の大型複合ビルの建設が計画されている。地下街と直結し、低層階には商業施設やオフィスなどを備え、上層階には4つ星ランクのホテルの入居を予定している。

 新線開通により、キタ・ミナミ・ベイエリアなど注目スポット全てにダイレクトアクセスが可能になる西区の価値が今後も高まることは間違いないだろう。