【葬儀の現場から】エンディングライフサポート葬祭
「今すぐ対応してほしいのに、〝資料を送ります〟と言われたんです」真夜中、葬儀の相談を受けるエンディングライフサポートに一本の電話が入った。電話の主は、目の前で親族を亡くしたばかり。まずはインターネット広告で知った大手葬儀社へ連絡したが、返ってきたのは〝資料を送る〟という案内だったという。
遺族が「いつ届きますか」と尋ねると、翌日には届かないとの返答。結局、資料が届いたのは葬儀を終えた後だった。
突然の死に直面した遺族が求めているのは、資料ではない。「今、何をすればいいのか」「これからどう動けばいいのか」という助言や、一刻も早く不安を和らげてくれる存在だ。
こうした経験は、葬儀業界が抱える課題を映し出している。遺族が葬儀を「高かった」と感じる理由は、単に金額だけではない。担当者が頻繁に代わる流れ作業のような対応や、事務的な受け答えによって、人として寄り添ってもらえなかったという印象が残れば、費用以上に不満が大きくなる。
近年はIT企業の参入も進み、問い合わせ対応の自動化やAI(人工知能)の活用も広がりつつある。しかし、画一的な回答しかできない窓口では、家族構成や宗教、故人への思いなど、一人一人異なる事情を抱えた遺族の不安に応えることは難しいとの指摘もある。葬儀は効率性よりも、人の温かさが求められる場面だからだ。
一方で、費用面でも遺族と葬儀社の認識には隔たりがある。多くの葬儀社ではパックプランを基本としているが、遺族にとって本当に必要なものと、そうでないものを見極める機会は少ない。
例えば、僧侶を呼ぶかどうか、自宅で見送る選択肢はないのかなど、本来は遺族の希望に応じて選べる内容でも、パックプランを前提に話が進みやすい。プラン外の選択肢は情報が得にくく、追加料金が発生するケースも少なくない。
「家族葬」も同様だ。本来は家族や親族だけで静かに見送る小規模な葬儀を指す言葉だが、実際には総額100万~200万円近くになるケースもある。毎日の湯灌や安置料などのオプションが積み重なり、当初の想定を大きく上回ることもあるという。湯灌は必ずしも毎日必要ではないケースもあり、十分な説明がないまま費用だけが膨らめば、不信感につながりかねない。
さらに、家族を亡くした直後の遺族には、複数の葬儀社へ問い合わせて相見積もりを取る精神的な余裕はほとんどない。冷静な比較検討が難しい状況だからこそ、価格だけでなく、一人ひとりの事情に耳を傾ける姿勢が求められている。
故人を見送る時間に必要なのは、遺族が納得し、安心して別れを告げられること。葬儀の満足度を左右するのは、金額以上に、人と人との温かな関わりだといえる。

<取材協力>エンディングライフサポート葬祭/大阪市阿倍野区阿倍野筋5丁目13−10/電話(0120)805787
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