【地域密着の法律相談】専門家活用が円満相続の鍵
「遺言書を書けば相続争いは防げる」そう考える人は少なくない。しかし実際には、遺言書があっても相続人同士の対立が起きるケースは珍しくない。円満な相続を実現するためには、遺言書の種類や遺留分制度、相続税の仕組みなどを正しく理解しておくことが大切だ。
遺言書には大きく分けて、自分で全文を手書きする〝自筆証書遺言〟と、公証人が作成に関与する〝公正証書遺言〟の2種類がある。
自筆証書遺言は費用を抑えられる一方、内容を全て自分で考えなければならない。法的な助言を受けずに作成されることも多く、記載方法の誤りや内容の不備が後のトラブルにつながる場合がある。
一方、公正証書遺言は費用が必要になるものの、公証人が関与するため法的な安全性が高く、相続発生後の手続きも進めやすいとされる。
近年は法務局の遺言書保管制度も利用できる。自筆証書遺言を法務局に預けることで、紛失や改ざんを防ぐことが可能だ。ただし、法務局が確認するのは形式面のみで、遺言内容の妥当性や相続対策について助言を行うわけではない。
相続で特に注意したいのが〝遺留分〟である。遺留分とは、配偶者や子どもなど一定の法定相続人に法律上保障された最低限の取り分を指す。
例えば、再婚した後妻に全財産を相続させる遺言を残したとしても、前妻との子どもには遺留分を請求する権利がある。遺言によって全財産の承継先が指定されていても、一定割合については取り戻すことができる。
現金であれば比較的調整しやすいが、不動産の場合は売却や共有、代償金の支払いなどを巡って話し合いが必要になる。共有状態になれば、管理や処分を巡る意見の対立が生じることもある。
相続税については、相続財産の総額が基礎控除額を超えた場合に申告義務が発生する。基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算され、法定相続人が3人の場合は4800万円となる。
また、自社株を保有する経営者にとっては株式評価も重要な課題となる。非上場株式は評価方法が複雑で、事業承継を見据えた早めの対策が求められる。
相続は誰にとっても避けて通れない問題だ。遺言書を作成するだけでは十分とはいえず、遺留分や税務、不動産など複数の課題を考慮する必要がある。円満な財産承継のためにも、司法書士や税理士など専門家の助言を受けながら準備を進めることが重要だ。
同事務所は、大阪市北区の北区民センターで無料法律相談会を開く。実施日は、8月6日と9月7日の2回。各日午後1時半から4時半まで。8月6日は同センターの2階第4会議室、9月7日は1階第1会議室を使用する。相談は予約制。
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