社葬に映った〝継ぐ覚悟〟 葬儀という、未来への約束

【葬儀の現場から】エンディングライフサポート葬祭

 53歳という若さで旅立った社長の社葬に立ち会った。後継を託されたのは妹。喪主として参列者一人一人に丁寧に頭を下げる姿には、深い悲しみと同時に、これから会社を背負う覚悟がにじんでいた。

 顧問弁護士や会計士、取引先の経営者らが静かに列をつくる。故人は経営者として手腕を発揮する一方、地元・大阪市西成区の消防署への寄付など社会貢献にも力を尽くしてきた。福祉活動にも熱心で、多くの人を支えてきたと聞く。参列者の顔ぶれが、その歩みを物語っていた。

 棺は吉野杉で仕立てた。木目の温もりが、どこか故人の人柄を映す。送り出しの際、別れを惜しむ思いがあふれ、ふたが閉まらないほどだった。涙とともに、感謝の言葉が幾重にも重なる。

 式を終えた喪主は「やり尽くした。後悔のないものになった」と語った。そして葬儀社に「任せてよかった」と声を掛けた。その一言の重みを、私たちは忘れない。

 葬儀に携わって16年。積み重ねてきたのは〝信頼〟だ。葬儀はやり直しがきかない。失敗が許されない場面で、何より支えになるのは、遺族が心を開いてくれる関係性である。

 近ごろは効率が優先され、式が始まって1時間後には出棺という流れも珍しくないと聞く。人件費も分単位。だが、時計の針で区切れる時間ではない。故人と遺族が最期にともに過ごすひとときは、人生で一度きりだ。

 だからこそ、せわしなさを感じさせないことに心を砕く。遺族の本音を聞き、故人の尊厳を守る。本気で向き合うことが、信頼につながると信じている。

 別れの場は、終わりであると同時に始まりでもある。社長を見送った妹のまなざしの奥に、新たな一歩の光を見た。葬儀は悲しみの儀式であり、未来への約束でもあるのだ。

<取材協力>エンディングライフサポート葬祭/大阪市阿倍野区阿倍野筋5丁目13−10/電話(0120)805787
https://endinglifesupport.com/

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