上方落語界で次世代担う中堅噺家の笑福亭鉄瓶が芸歴25周年を記念して「東名阪独演会ツアー」(10月30日・名古屋、11月7日・大阪、11月25日・東京)の概要発表会見を行い意気込みを語った。

鉄瓶の代名詞とされ、映画にもなった「35年目のラブレター」で知られるノンフィクション落語は別機会に移し、今回は古典落語「ねずみ穴」と「紀伊国屋宝入船」の2題に専念。師匠・鶴瓶譲りのフリートークを加え、開口一番を語る若手落語家1人ずつを同行する。

「ねずみ穴」は桂福団治にけいこを付けてもらっており、兄弟の金銭を巡る確執と人生の浮き沈みを商いの街・大阪らしく人間くさくリアルに演じるく大ネタ。「紀伊国屋~」は、鉄瓶が同じハルカス寄席メンバーの講談師・旭堂南海の同名ネタを聞き心酔。「ぜひ落語にしたい」と願い出てけいこを付けてもらい、落語作家・小佐田定雄が手直しし大作に仕上げた。紀文こと廻船問屋・紀伊國屋文左衛門がみかんを積んだ船を命賭けで江戸に運ぶ冒険物語。「以前から落語ネタとしても確立されているのですが、ボクはあくまで南海さんの講談を聞きホレたのである意味オリジナル」と話す。

鉄瓶は鶴瓶のフリートークにあこがれて入門、そのため落語を本格的に始めたのは3年目からと遅咲き。昨年は繁昌亭大賞を受け、「今は落語でボクの家族がご飯を食べられる。師匠・鶴瓶に感謝です。上方落語を引っ張るなんてまだまだ恐れ多いですが、協会として何かに取り組む時にボクも一緒に呼んでもらえるような存在になりたい」と抱負。

東京だけでなく名古屋でもツアーを開催する意味について、「距離的には上方が近いのに、名古屋へ呼ばれる落語家さんは江戸の方が多い。そればかりではなく、地元の近畿2府4県で頑張っているのは上方の噺家やのに、やはり呼ばれるのは江戸の方。ボクらが頑張って何とせなアカンのです」と危機感を抱く。後輩へのエールも惜しまず、「おかげさまで上方の後輩の落語会にゲストで呼んでもらえる事が増えた。嫌われていない証明やからうれしい。ボクが出演して少しでもお客さんが増えるようになれば」と意欲的だ。
(畑山 博史)
