「ITツール」だけではもう古い 生成AI搭載機能も選べる新補助金、1次公募スタート

[プロフィル]
なにわのみやコンサルティング増田昌代
1972年生まれ。立命館大学大学院経営管理研究科修了(MBA取得)、中小企業診断士。大手IT企業の経営企画室での経験を基盤に、複数業界でのキャリアを構築。東証上場企業の広報IR責任者を経て2024年に独立。データ分析に基づくWEBマーケティング戦略立案と各種補助金活用支援を得意とし、中小企業の持続的成長をサポート。

 中小企業経営を取り巻く環境は、人手不足や賃上げ圧力といった課題が同時に押し寄せており、従来のやり方の延長では収益性の維持が難しくなっています。
 こうしたなか、従来の「IT導入補助金」は「デジタル化・AI導入補助金」へと改称されました。これは単なる名称変更ではなく、補助金の目的が、ITツール導入による効率化から、AIも活用した労働生産性の向上へと軸足を移したことを示しています。
 これまでのIT導入補助金は、会計、受発注、決済などのデジタル化や、インボイス制度への対応に特徴がありました。一方、新制度では、AI機能の有無を含めたITツールの機能概要を検索システムで確認できるようになり、より高度な業務変革を見据えた仕組みとなっています。
 2025年第7次締切のIT導入補助金の採択率は、通常枠が約37・9%、インボイス枠が約45・7%、セキュリティ対策推進枠が約54・5%となっており、決して高い水準とはいえません。採択率を高めるためには、申請書の事業計画において、定量的かつ具体的に期待される効果を説明することが重要です。
 例えば、「事務作業が多い」という表現ではなく、「毎月数百枚の請求書を手入力しており、月40時間の作業が発生している」といった具体的な数値を提示します。そのうえで、ITツールがどのように課題を解決するのかを説明し、「作業時間を月40時間から5時間に削減し、創出した35時間を営業活動に充てて売上10%増を目指す」といった導入後の成果をあわせて記述すると説得力が高まります。
 今回の制度変更で問われるのは、「どのITツールを導入するか」以上に、「導入によって会社全体がどう変わるか」です。受発注や会計処理の効率化はもちろん、AIによる需要予測や顧客対応の自動化、意思決定の迅速化などにより、経営判断のスピード向上が期待できます。本制度を活用することで、守りの経費削減にとどまらず、将来を見据えた攻めの成長投資につなげていきましょう。

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