【記者の投資勉強会】「高市トレード」に注目 防衛・宇宙・量子など成長と安全保障軸に

 株式市場で「高市トレード」と呼ばれる投資テーマが浮上している。防衛、宇宙、サイバーセキュリティ、核融合、量子コンピューティング、防災、最先端技術など、いわゆる「高市銘柄」とされる分野が物色対象として意識されている。経済産業省が推進するDX(デジタルトランスフォーメーション)関連や「なでしこ銘柄」などの女性活躍企業も合わせ、幅広い業種が市場の関心を集めている。

 10月下旬に予定されるトランプ米大統領の訪日・日米首脳会談を皮切りに、新政権の外交日程は立て込んでいる。韓国でのAPEC首脳会議、QUAD首脳会談、さらに11月22日からのG20など、主要国との会談が続く見通しだ。新総理の外交デビューの成否は、内外の投資家心理にも影響を与えるとみられる。

 一方で高市氏について、海外メディアの論調には温度差がある。AP通信は高市氏を「超保守派」と紹介。ワシントン・ポストは「強硬保守の安全保障タカ派」「ジャパン・ファースト」と評し、「ガラスの天井を破ったがフェミニストではない」とも伝えた。ロイター通信は「マーガレット・サッチャーに傾倒する〝鉄の女〟」と形容し、安倍晋三元首相の「アベノミクス」路線を継ぐ積極財政派と報じた。中国の官製メディアは「女版安倍」として警戒的な見方を示す一方、台湾メディアは歓迎的。韓国主要紙は「筋金入りの極右政治家」と伝えた。

 市場関係者の間では、「海外投資家は今の日本市場に〝劇薬〟を求めていない」との声もある。急激な金利上昇など、市場に混乱をもたらす政策よりも、安定成長を志向する姿勢が重視される傾向だ。同氏からは「アベノミクスの丸呑みはない」との言及もある。参考までに株式市場の過去3政権(菅、岸田、石破)の動きを振り返ると、発足から1カ月程度は様子見、その後に売り圧力が強まるパターンが見られた。

 「高市銘柄」に期待が集まる背景は何なのか? 同氏が掲げる「国家の危機管理と成長投資」の理念に繋がる。台湾の半導体大手TSMCが世界のサプライチェーンで果たす戦略的不可欠性になぞらえ、日本の技術力を防衛、宇宙、量子といった分野で突出させ、経済成長と安全保障を両立させるのが狙いではないだろうか。AppleやTeslaなどの製造を支える台湾企業群のように、日本も「戦略的不可欠性」を高めることで、世界経済の中で「なくてはならない国」としての再構築に期待が集まっているように思う。

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