地域

見て、感じて、食べて、驚け。リアル万博体験!

 4月13日に開幕した大阪・関西万博に、本紙記者が一足先に会場を訪れ取材。読者の参考にしてもらおうと、リアルな体験の模様をお伝えする。

西ゲートから入ると迎えてくれるミャクミャク。正座しておもてなししてくれているのがかわいい
西ゲートから入ると迎えてくれるミャクミャク。正座しておもてなししてくれているのがかわいい
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近未来的な外観のパビリオンがずらり
入場してすぐワクワクは最高潮

楽譜をイメージしたらせん状のオブジェが特徴のオーストリアパビリオン
楽譜をイメージしたらせん状のオブジェが特徴のオーストリアパビリオン
落合陽一さんがデジタルと自然が融合する世界を表現した「ヌルヌル」。外観は鏡のように反射する特殊な膜で覆われている
落合陽一さんがデジタルと自然が融合する世界を表現した「ヌルヌル」。外観は鏡のように反射する特殊な膜で覆われている
トルクメニスタンのパビリオン。外壁の大型スクリーンには、緑の中を駆ける馬など雄大な自然と調和した人の営みを映し出されている
トルクメニスタンのパビリオン。外壁の大型スクリーンには、緑の中を駆ける馬など雄大な自然と調和した人の営みを映し出されている

 会場に入ると近未来的な外観をしたパビリオンがズラリ。その圧巻の姿にすでにワクワクは最高潮。
 まず向かったのは「大阪ヘルスケアパビリオン」。ここの目玉は、自分の体内年齢や健康状態を測れる体験。受付でQRコードを読み込んで、専用端末にタッチ。登録する作業があるので事前にアプリをダウンロードがおすすめ。血管、筋肉、肌、歯、目、脳…と、7つの項目を次々に測定していく。結果が出るまでの時間が意外と長くてちょっと身構える。出た診断結果は体内年齢プラス5歳。うなだれたが、なんと肌年齢はマイナス11歳。一気にテンションが回復。ちなみに「カラダ測定年齢」は実年齢より7歳も若く出た。ほんとかな?と思いつつも、うれしい結果には素直にニンマリ。

西ゲート近くにある大阪ヘルスケアパビリオン
西ゲート近くにある大阪ヘルスケアパビリオン
「脳」が健康か記憶力で測定v
「脳」が健康か記憶力で測定

 館内には、iPS細胞を使った〝動く〟心筋シートも展示。直径数センチ、厚さ0・1㍉の薄いシートがピクピク動いているのを見て、まさに「命の鼓動」を感じた。これが医療現場で心臓の拍動を助けるなんて、未来はもう始まっているのだと思う。
 次に訪れたのは「XD HALLモンスターハンターブリッジ」。ARデバイスを装着して、自分自身が〝モンハン〟の世界に入り込む没入型のアトラクション。視界いっぱいに広がる草原、襲いかかるドラゴン、自分の手元に現れる「石」。それを掴んで、敵に向かって投げる。ゲームの中に入るってこういうことか…と圧倒された。

ARデバイスを装着した360度シアター。立体音響、床振動が体験できる
ARデバイスを装着した360度シアター。立体音響、床振動が体験できる

再現されたユーカリの森

 そして「オーストラリアパビリオン」では、本物の水が流れる川やユーカリの森が再現されている。時々現れるコアラやオウムなど6種類の固有種を探す楽しみも。

まるで熱帯雨林を歩いているよう
まるで熱帯雨林を歩いているよう

 外に出ると「CAFE KOKO」でオージーグルメを堪能。「ラム肉スペアリブ」(1400円)はジューシーで、「オージーミートパイ」(800円)は中からビーフシチューのようなフィリングがとろけ出す。日本人でもなじみ深い味だ。さらに「エビ&チップス」(1200円)も注文し、しっかりランチまで楽しんだ。

オーストラリア館の「カフェKOKO」でしばし小休憩。手前右から時計回りにオージーミートパイ、エビ&チップス、ラム肉スペアリブ、コーラ、ブラッドオレンジジュース
オーストラリア館の「カフェKOKO」でしばし小休憩。手前右から時計回りにオージーミートパイ、エビ&チップス、ラム肉スペアリブ、コーラ、ブラッドオレンジジュース
「好きやねん大阪フードコートWEST SIDE店」で販売している大阪ミックスジュースクレープ(1738円)。ボリュームたっぷりだ。
ちょっと食べ歩き。「好きやねん大阪フードコートWEST SIDE店」で販売している大阪ミックスジュースクレープ(1738円)。ボリュームたっぷりだ。

拍動するiPS心臓

 食後に訪れたのは「パソナグループ」のパビリオン。物語の主役は「鉄腕アトム」。地球を救うため命を差し出す決断をしたアトムが、「ブラック・ジャック」の手で再生され、iPS細胞を搭載した「ネオアトム」として蘇るというストーリー仕立てになっている。

最新の医療技術などを紹介する「パソナグループ」のパビリオン。鉄腕アトムがお出迎え
最新の医療技術などを紹介する「パソナグループ」のパビリオン。鉄腕アトムがお出迎え。鉄腕アトムはパソナ本社がある淡路島を指している
上下水平に移動したり回転したりする約2㍍四方のLEDキューブ27個に映し出される躍動感ある映像でネオアトムが生まれる物語を楽しめる
上下水平に移動したり回転したりする約2㍍四方のLEDキューブ27個に映し出される躍動感ある映像でネオアトムが生まれる物語を楽しめる

 その「ネオアトム」に搭載されたiPS細胞からつくられた「ミニ心臓」も展示されている。大阪大学の澤芳樹特任教授らが開発した、直径約3㌢の立体臓器は、ヒトの心臓にそっくり。静かに拍動する姿を見ながら、「未来は本当にここまで来ている」と思わず息をのんだ。

培養液の中で「iPS心臓」がドクドクと拍動する
培養液の中で「iPS心臓」がドクドクと拍動する

感動の水と光のショー

 締めくくりは日没後に会場中央の「ウォータープラザ(幅200㍍)」で上演される水上ショー「アオと夜の虹のパレード」。海面に巨大なオブジェと約300基の噴水を設置し、音楽、照明、レーザーで壮大な物語が繰り広げられる。島で暮らす主人公の少年「アオ」が水と空気の精霊「ドードー」と出会い、多様な生命と心を通わせていくやさしい物語が、大屋根リングを背景に浮かび上がるキャラクターによって語られていく。幻想的な光と音に包まれ、あっという間の25分。観覧には事前予約が必要だ。

日没後に繰り広げられる水上ショー。アオとドードーの出会いの様子
日没後に繰り広げられる水上ショー。アオとドードーの出会いの様子

 今回の万博は、命の尊さや人間の可能性を深く考えさせられ、未来社会を体で感じることができる場所だ。

1周2㌔の大屋根リングからは美しい夕日が眺められる
1周2㌔の大屋根リングからは美しい夕日が眺められる

55年ぶり〝月の石〟が再び アメリカ館

 巨大キューブを挟む2面のLEDスクリーンが目印で、内部は5つのエリアに分けられ、アメリカ旅行や宇宙探索などを疑似体験。NASAのロケット打ち上げの再現映像が大型LEDに映し出される展示では、大音響の中で床が揺れ、本当に宇宙に旅立つ感覚に。最後は、1970年の大阪万博から再び、72年にアポロ17号が採取した「月の石」の展示も。

72年にアポロ17号が採取した「月の石」
72年にアポロ17号が採取した「月の石」
ケネディ宇宙センターから着想を得た展示。発射に向けカウントダウン、発射後は床が揺れ、大音響の没入体験ができる
ケネディ宇宙センターから着想を得た展示。発射に向けカウントダウン、発射後は床が揺れ、大音響の没入体験ができる

漢詩とAIが共演 中国館

 外観は、古代の書物「竹簡(ちくかん)」がモチーフで、119の漢詩がしたためられている。話しかけると踊るロボットや、「孫悟空」のAIチャット、月の裏側のサンプル展示など、中国が誇る最新技術を楽しめる。

質問や会話が楽しめる孫悟空のAIビッグデータモデル
質問や会話が楽しめる孫悟空のAIビッグデータモデル

五感目覚めるK-POPと映像で魅せる未来 韓国館

 まずは各国の言語での声がAIでリズミカルな音楽になって再生され、照明と連動した鑑賞体験ができる。2つ目のエリアでは、エコ技術を活用したアクティビティを通して、共に未来環境を回復させる体験を行う。そして、2040年の韓国をイメージした音楽劇を3面の大型マルチスクリーンで鑑賞。K-POPの音楽と共に、最新映像技術で具現化された近未来の韓国社会が映し出される。

3面の巨大マルチスクリーンにK-POPや韓国の未来社会が映し出される
3面の巨大マルチスクリーンにK-POPや韓国の未来社会が映し出される

伝統が進化を着る時
飯田グループ×大阪公立大学共同出展館

 外壁全面に西陣織を使った世界最大の西陣織建築と、扇子形の屋根としてギネス世界記録に認定。内部では、未来都市「ウェルネススマートシティ」のジオラマや人工光合成技術を展示。
 点灯式では雨天によるハプニングもあったが、アンバサダーの市川團十郎さんが場をつなぎ、無事にイルミネーションが点灯した。

「ウェルネススマートシティ」の巨大ジオラマ
「ウェルネススマートシティ」の巨大ジオラマ

見た目以上のエンタメ空間
関西パビリオン

 滋賀・奈良・京都・兵庫・和歌山・鳥取・徳島・福井・三重の9府県が集結。各地の観光名所や名物が最新技術を駆使して表現され、新しい魅力と出合える。
 鳥取県の「無限砂丘」や福井県の「恐竜王国」を体感できる懐中電灯型デバイスによる化石探しなど、老若男女の心をつかむ仕掛けが盛りだくさん。観光の予習としても、ちょっとしたタイムトリップ気分としても楽しめる。確実に「ウケ」を狙いたいなら、訪れて損はないスポットだ。

鳥取砂丘を再現した「鳥取無限砂丘」
鳥取砂丘を再現した「鳥取無限砂丘」

映像と振動で「ガンダム×未来」没入ツアー
ガンダムネクストフューチャーパビリオン

 宇宙と人類の共存を描いた没入型アトラクション。西暦2150年の夢洲を舞台に、軌道エレベーターで宇宙ステーションへ。新作映像ではビームサーベル農業やAIによる宇宙作業、ジオングとの迫力ある戦闘などが展開され、映像と振動が臨場感を演出する。

屋外には実物大のガンダム像が展示されている
屋外には実物大のガンダム像が展示されている

静かに宙を舞う。運行は7~8月?
空飛ぶクルマ

 空飛ぶクルマが飛行する様子が報道陣に初公開された。高度は約5㍍で、飛行時間は3分50秒。パイロットは搭乗せず、自動制御とリモート操縦で運航。現状では、20分の充電で20分の飛行が可能だという。エンジンではなく電動で飛行するため、騒音が少なく、環境に優しい未来のモビリティとして注目されている。期間中の7~8月に運航を検討している。

会場でデモフライトを行う空飛ぶクルマ
会場でデモフライトを行う空飛ぶクルマ