関西学院大学経済学部の安岡匡也教授らは2月25日に東大阪市へ、同27日に兵庫県に対し、新型コロナワクチン接種後の対応に関する要望書を提出した。

東大阪市長を直々訪問
東大阪市には、安岡教授と同市に住む高校教諭で薬剤師の三木久子氏が直々に、野田義和市長へ提出。ワクチン接種後に体調不良になった場合、安心して医療機関で受診できることや、予防接種健康被害救済制度の迅速な対応などを求めた。
市への要望書提出を主導した三木さんは2021年、コロナワクチン接種1回目の翌日から歩行困難や頭痛、めまい、倦怠感、右腕・右太ももの激痛などさまざまな副反応に苦しみ、2年半近く寝たきりで過ごした。体調不良に苦しんでいたが診察を受けられず、たらい回しの状態が続き、結果として40件以上の病院を巡った。その後、予防接種健康被害救済制度に申請し、医療費・医療手当は認定された。
三木さんは「私のように後遺症で苦しんでいる人が他にもいる。そのような人々が孤立することのないように理解を深めてほしい」と要求。野田市長は「ワクチン接種は国のスキーム。国や大阪府に状況を伝え、改善が必要な点については求めていく」と述べた。
兵庫県には医師への指導求める
2月27日、兵庫県に出向いた安岡教授は、県から医師に対して「予防接種副反応疑い報告」を適切に行うよう指示してほしい要望書を提出した。
安岡教授は21年、コロナワクチンを2回接種しめまい、ふらつき、不眠、首の凝りに見舞われた。12の医療機関、薬局から受診証明書などを取り寄せ、「予防接種救済制度」に申請し「めまい病」として認定された。
国に報告なしも?
「予防接種救済制度」とは、予防接種による健康被害が生じた場合、本人らが申請し認定されると、厚労省の判断で「医療費・医療手当」「障害年金」、「死亡一時金」などが受けられる。
一方、今回、安岡教授が要望する「予防接種副反応疑い報告」は、接種医が厚生労働省に報告する制度。予防接種法では、「接種を受けた人が一定の症状を呈していることを知った場合に、発生した症状と予防接種との因果関係が明らかでない場合であっても、保健衛生上の危害の発生または拡大を防止する観点から報告の必要があると判断される場合には、報告対象となり得る」とされている。
安岡教授は「医師に副反応疑いを報告をしてほしいと求めたが、頑なに拒否された。私のように、報告されていないケースは多いと考えられる」と話す。
このため、副反応疑いについて県から市町に対し、医師が患者から受けた依頼を適切に報告するよう促してほしいなどと要望した。