Spyce Media LLC 代表 岡野 健将

引き続きトランプ大統領の乱暴な関税政策で、世界経済や株式市場が大混乱しています。その影響は物価や為替にも現れ、この先どうなるのか、心配しかないという人も多いのでは?
しかし私はあまり気にしていません。なぜなら台風一過のようなもので、しばらくすれば通り過ぎ、落ち着きを取り戻すだろうと思っているからです。
トランプ大統領は基本的にビジネスマンです。今回の関税は、長期的に世界各国に高率の関税をかけたいがための政策ではなく、米国に有利な条件を引き出すための政治的駆け引きを利用したビジネス戦略。期待した成果が得られれば徐々に税率は下がっていくからです。中には高率を維持するケースもあるでしょうが、全体としては半年もすれば大半が落ち着くのではないでしょうか。
その間に米国は、自国に投資する企業がもたらす雇用や税収増、そして直接投資による経済活性、他にも武器やジェット機などの米国製品を購入する国や企業から米企業が利益を得たり、雇用を増やしたり、とさまざまなオファーを引き出し、メリットを享受することになります。
結果的に、現在心配されている経済は持ち直し、大幅に下げている株価も上昇に転じ、暴落前の株価を超えていくでしょう。
この状況でも私が心配しないもう一つの理由は、米企業の堅調さと好決算です。減収減益の企業もありますが、ファンダメンタル(財務状況や決算など)的には強い企業が多いので、関税問題が過ぎ去れば、一気に経済は復調するはずなのです。
楽観的すぎますか?
私はこのような状態がいつ達成されるか? をポイントにしています。そうなるかならないか、は心配する以前の話です。なぜならトランプ大統領は、こういう形になるまで高率の関税を維持し、抵抗する国と徹底抗戦すると考えているからです。
遅かれ早かれ、彼と交渉し、落とし所を見つけない限り、米国との貿易には高い関税を支払わなければならない状況が続きます。であれば、相手国は早々に妥結点を見出すに越したことはありません。そう考えると、今年後半には世界規模での落ち着きを取り戻すという予想もできるのではないでしょうか?
もし、今年の後半になっても多くの国、特に主要国が高率関税との戦いを続けているとしたら、それはもう世界レベルで大きな経済損失を生み、失業者が増え、インフレなどの問題を引き起こすでしょうし、米国内でも多くの問題が吹き出してコントロール出来なくなるはずです。来年の中間選挙のことも考えると、トランプ大統領もいつまでも国民に苦しみを味わわせ続けることは出来ないはずで、どこかで終結せざるを得ないですし。
個人レベルではインフレによる生活苦を感じる人がいるのは分かります。しかし、マクロ経済的には、今回の関税問題は大人しくしていれば通り過ぎていく、そんなものだと思います。