【外から見た日本】憲法改正ができる国

Spyce Media LLC 代表 岡野 健将

Spyce Media LLC 代表 岡野健将氏

 先の参議院選挙は、安倍晋三元総理の暗殺もあり、地滑り的に自民党が圧勝したため、自公に加えて改憲勢力の維新と国民民主を足すと、憲法改正を可能にする数を獲得した。これで日本もグローバルスタンダードの国らしく、憲法が改正できる国になるのか? 世界を見渡すと多くの国で過去に何度も憲法は改正されてきている。国立国会図書館の資料によると、戦後だけでみてもアメリカは6回、 カナダは19回、フランスは27回、ドイツは59回、イタリアは15回、オーストラリアは5回、中国と韓国は9回憲法を改正している。

 日本でも〝憲法改正〟自体に反対する人は少ないのではないかと思う。ただ、どうしても憲法改正というと9条の改正による再軍備を懸念して、および腰になっているのが現状だろう。海外と比べるとこの発想は非常に日本人的だ。リスクをともなうことを避けて通ったり、結果責任を追及されることをしない。その最たるものがこの憲法改正論議ではないか。多くの国がそうである様に、日本でも時代に沿って憲法も改正されてしかるべきはずだが、憲法改正に踏み出した途端、再軍備による戦争支持者とレッテルを貼られてしまう。

 日本は世界で唯一の被爆国であり、民間人に核の犠牲者を出した国である。そう簡単に再軍備や核武装を行うとは思えない。一部を除いて他国もそう思っている。日本の平和憲法を「素晴らしい」と称賛する外国人もたくさんいる。どの国も「軍隊を持ち、軍国化することを良し」と思っていないが、現実問題として軍事力を保有しているだけだ。実際核武装している国は限られている。戦勝国の5カ国以外は全て国際的なルールを無視して核を手に入れた国ばかりで、それ以外の国は核兵器など所有していない。

 日本が平和憲法を改正し自衛隊が軍隊になったとしても核被爆国として、あえて核武装しないことを追求する選択肢は「あり」だろう。コスタリカは軍隊を持っていたが、自ら破棄している。スイスは永世中立国として知られているが、強力な軍隊を持っている。地政学的にみて日本が仮想敵国と対峙した場所にあることは事実だが、日本の自衛隊の戦力は既に世界6位の規模になっている。

 何をもって「日本がグローバルスタンダードの国になった」と言うか? それは理にかなった理由で憲法を改正できる国になることであって、それ自体が即軍国化ではないということを理解したとき。他国では憲法改正は頻繁に行われており、そのことが大きな問題になることはない。議論を尽くして提案された選択肢を国民が検討して、自分たちの一票の結果で憲法が改正されることもあれば、現状維持になることもある。至極普通の民主主義国家のあり方だ。これができていないのが今の日本なのだ。

 憲法改正できる国になることは、何も恐れることではなく、歓迎すべきことだ。その上で 9条を改正するのかどうか、するならどう改正するのか、を話あって決めていくのが成熟した民主主義国家だろう。それができてこそ、グローバルスタンダードの国になったと言えるのではないだろうか?

【プロフィル】 State University of New York @Binghamton卒業。経営学専攻。ニューヨーク市でメディア業界に就職。その後現地にて起業。「世界まるみえ」や「情熱大陸」、「ブロードキャスター」、「全米オープンテニス中継」などの番組製作に携わる。帰国後、Discovery ChannelやCNA等のアジアの放送局と番組製作。経産省や大阪市等でセミナー講師を担当。文化庁や観光庁のクールジャパン系プロジェクトでもプロデューサーとして活動。