
中小企業の脱炭素への取り組みを強化し、環境負荷の削減と企業価値の向上を目指すことを目的に、中小企業基盤整備機構 近畿本部は2月28日、アンカー神戸(神戸市中央区)で「脱炭素に向けた挑戦 関西企業の取り組み発表会」を開催した。
日本全体として脱炭素に向けた進展は緩やかながらも、近年の世界的な環境対策の強化に伴って取引先から対応を求められるなど、サプライチェーン全体で加速傾向にある。政府は企業支援策として、専門家による安価な省エネ診断や補助金などの制度を提供しており、これによってコストを抑えた取り組みが可能となっている。
大阪の印刷会社も「早めの取り組みが有利」

同発表会では、まず三菱重工業が「カーボンニュートラルの実現に向けた戦略」と題した基調講演を行った。その後、支援を受けて脱炭素に取り組む関西の中小企業が3社登壇し、各取り組みを発表。東大阪市のラベル印刷・ステッカー製造業である精巧社の常務取締役 奥良二さんは、照明のLED化、空調設備の省エネ化、生産スケジュールの最適化によるエネルギー削減を実施した事例を紹介。「専門家の診断で無駄が可視化され、スムーズに進められた。脱炭素は避けられない課題であり、早めに取り組む方が有利だと感じた」と締め括った。
「知る、はかる、減らす」身近な取り組みから
環境意識の高まりの中、脱炭素は企業価値の向上や市場競争力の強化にも直結しており、今後ますます経営の重要要素となる見通しだ。企業の支援を行う中小企業基盤整備機構 近畿本部 企業支援課 の奥田菜穂さんは、「何から手をつければいいかわからない、という課題を多くの企業が抱えている。しかし、実は身近なところから手軽にできることも多い。企業と支援機関が互いにできること、できないことを明確にした上で協力し合うことが重要だ」と考えを示した。