喫煙室設置などの負担、重くのしかかる

大阪市内全域で路上喫煙を禁止する改正条例の施行から1カ月。4月からは飲食店などの屋内喫煙を規制する大阪府受動喫煙防止条例の完全施行が始まる。
現状の整備状況に疑義
横山英幸市長は万博開催までに330カ所の喫煙所を確保する考えを示しているが、現状は条例施行後も事業所や飲食店などが密集するエリア、乗降客数1万人以上の駅頭やその周辺でポイ捨てや路上喫煙が多く観測されている。
2月19日の大阪市会建設港湾委では、喫煙所整備に関する陳情が7件上がり、自らが参画していた路上喫煙対策委の元委員からの陳情も確認できたが、当時、環境局より「1万人以上の方が利用されている駅が市内に138駅あり、それぐらいの規模の駅には、対策を講じる必要がある」という趣旨の発言があった。ところが、現状(3月時点)はその半数以上で未だ整備されていない状況だったことを受け、「速やかに整備すべき」とする意見が上がった。
このほかにも、問題視されていたパチンコ店の既存喫煙所を市指定喫煙所として一般開放することで数を稼ぎ、こうした場所での喫煙行為を促すことについて「ギャンブル依存症の誘発可能性がある」と、然るべき場所での整備を求める陳情が上がった。過去に維新会派が主張していたギャンブル依存症対策との矛盾が露呈する格好となった。
4月13日には万博が開幕し、国内外から多くの観光客が大阪市を訪れる。喫煙所不足の状況のままでは条例の実効性への疑念が上がっている。
コロナ禍乗り越えた飲食店を〝直撃〟
こうした状況下で、大阪市の今後の対応に注目が集まっているのが、4月からは客席面積30平方㍍を超える飲食店は原則、屋内禁煙となる府受動喫煙防止条例の完全施行だ。
飲食店からは「条例の趣旨には賛成だ。ただ、今後、店内を禁煙にすることで経営への影響が心配」「コロナ禍を何とか乗り越えたが、もう資金的な余裕はない」など切羽詰まった声が上がる。
大阪と京都の府境で飲食店を営む店主は「常連の客から『これから吸えなくなるのであれば別の地域で飲む』と言われたことがショックだった。大阪府の失政で別地域に客が流れていく可能性がある」と不満を打ち明けた。