コミュニケーションライター/黄本恵子
先日、こんなお話を聞きました。学年末の懇談会で、先生が「この一年でお子さんはたくさん成長されたと思います。親御さんから見たお子さんの良いところを教えてください。いっぱい褒めてあげましょう」と保護者に言ったそうです。
ところが、子どもの良い面や褒め言葉をしっかり告げることのできた保護者は1名だけ。他の保護者は「あんまり褒めるところが見当たらなくて…」としどろもどろ。ネガティブな面を述べる人もいたそうです。
子どもが大きくなるにつれ、求めることも大きくなるもの。褒めることは相当意識しないと難しくなっていきます。
普段子どもを褒めることが少ないと、いざ「お子さんの良いところを教えてください」「お子さんを褒めてください」と言われてもなかなか出てこないものです。
「子どもを褒めるのがどうも苦手」という人は、次のようなポイントも意識してみましょう。
できている部分を褒める
テストの点数や成績が低い子でも、できている部分は何かしらあるはず。そのできている部分を褒めると自信がつき、他の部分も底上げされて伸びていきます。
(例)「漢字の読み仮名、よく書けてるね~」
プロセスを褒める
点数や結果に関わらず、プロセス(過程)を見て褒めることで、子どもは「お母さん/お父さんが自分をよく見てくれている」と実感します。
(例)「イメージトレーニングまでしてがんばってたの、本当にすごいよね」
過去と比較して褒める
その子の過去と比較して、良くなった点やできている部分を褒めると、自分の成長を実感することができます。また、がんばることの価値や大切さも分かります。
(例)「3年生の頃より前向きに取り組むことが多くなったよね」
性格や特徴(=個性)を褒める
個性は点数や成績、他人との比較が及ばないところです。そこを褒められると、子どもは親が思う以上にうれしいことのようです。メンタルも強くなり、失敗や挫折を経験しても早く立ち直ることができます。
(例)「人の気持ちによく気づいて、優しいよね」
人間関係に悩む人をカウンセリングをしていた際、「自分に自信が持てない」という人が数多くいらっしゃいました。自分に自信がないと人間関係をうまくこなすことができず、ストレスも大きくなります。
「自分に自信が持てない」という人の話をくわしく聞いてみると、「自分は、親に他人やきょうだいと比較されて、叱られてばかり。褒められたことがない」と言う人がとても多いのです。
褒められたこともきっとあるはずですが、叱られたことや否定の言葉の方が記憶に深く残りやすいのでしょう。年々、褒め言葉をかけられることが少なくなるのも原因としてあるかと思います。
子どもが自信を持って人と関わっていけるよう、自分の人生を歩んでいけるよう、いつでもたくさん褒め言葉をかけてあげたいですね。
よく相手を見つめた上での褒め言葉は心に響きますし、ずっと残り続けると思うのです。
黄本恵子(きもと けいこ)大阪市出身。1980年生まれ。関西大学社会学部卒業。心理学について学びを深め、人間関係に悩む人々のカウンセリング業務に従事。その経験を活かし、家族間や男女間のコミュニケーションについての記事を大手WEBマガジンにて執筆。ビジネス書の編集・執筆協力にも多数携わる。米国NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー。
〈メディア出演〉ニュース番組『新・情報7daysニュースキャスター』に出演。「高齢者の親に免許返納を促す伝え方」についての記事が反響を呼び、取材を受ける。朝の情報番組『ビビット』に出演。「2歳児ができること」について紹介した記事が取り上げられる。