テレビ局制作のドキュメンタリー番組と言えば硬派で夜遅くか日付が変わってからの放送が定番。カンテレが9月7日午後2時57分から放送する『ザ・ドキュメント』はいつもの深夜枠を飛び出し、週末昼下がりの茶の間に送る「シン・道頓堀川」と題して制作した異色内容。関西人ならおなじみの大阪名所で「最近きれいになった、と言われるけど果たして魚類は住むのか?」の疑問を同社カメラマンが100時間掛けて撮りためた潜水映像と千原兄弟による現地調査で楽しく解き明かす。
道頓堀川は一般には大阪・ミナミ随一の繁華街「道頓堀」のすぐ北側を流れ、心斎橋筋・戎橋筋と交差し戎橋が架かるあたりを思い浮かべる。東西2・7㌔で普段は東を東横堀川水門、西を道頓堀川水門で区切られ湊町リバープレイス付近が真ん中で水流のあるイメージは薄い。遊歩道とんぼりリバーウオークが整備され、訪れる人々に川面が身近な存在となったが、魚類が住むイメージはどうも希薄。
若かりし頃の千原兄弟は戎橋たもとにあった心斎橋筋二丁目劇場で活動。眼下の道頓堀川を「夏が近づくと臭くなり、夜飲んでいると下水の臭いが上がってきた」と振り返る。2人で船に乗り川面に繰り出すとごみの多さに困惑する。そこで弟のジュニアさんが潜水で実地検証。しかし「アカン! 目の前が全部灰色で何も見えん」とお手上げに。うわさでは道頓堀川に大小さまざまな魚類が既に生息しているという。
カンテレスタッフは約3年掛けて川面と水中の生き物の映像を撮りためた。悠然と浮かぶ黒いカワウ。水中の魚類をエサにする野鳥が飛来するということは「必ず魚がいるはず」と色めき立つスタッフ。千原兄弟も協力して魚類が好む巣を仕掛けたり、新たな地点での水中撮影を繰り広げた。
再び現場を訪れた千原兄弟が目にしたものとは? 地元商店街の人々が期待する「清流に住むアユやウナギ」は本当にいるのか?
取材を担当したのは同じ報道センター所属だが普段は『ザ・ドキュメント』チームではなく『newsランナー』を担当する伊藤真弘記者(41)。「社内の映像ライブラリーでドブ川と化した以前の道頓堀川の映像を偶然見つけビックリ。どういう過程を経て現在の姿になったのか? 今の様子を調べてみよう」と決意。「人は汚れた場所には、ついゴミのポイすてなどをしてしまうもの。大阪は水の都で八百八橋の地。きれいな川を次世代に残すため、これからも取材を続けたい」と話している。
(畑山博史)