「古典落語」の梅枝と「創作落語」の慶枝がW襲名

 上方落語協会所属の枝光改め四代目桂梅枝(65)、三風改め五代目桂慶枝(63)ダブル襲名の祝賀会と披露興行が大阪で行われた。

祝賀会で桂文枝一門を代表して大阪締めを行う文珍(前列中央)

 枝光は高校を出た47年前に五代目文枝(2005年、74歳で死去)に入門し小つぶを名乗り関西のテレビなどで活躍。33年前に子どものぜんそく治療のため家族で札幌移住。上方落語とは縁が薄かった北国でコツコツと地域寄席を開きファンを開拓。29年前に二代目枝光を襲名、「師匠から〝枝光にはもっと上に梅枝という名前がある。枝に花が咲くように頑張りや〟と言われた。この歳になって新たな名前を頂け感激」と話す。

祝賀会で鏡開きする慶枝(中央)、右隣は師匠の文枝

 慶枝は京都学園大(現在の京都先端技術大)を卒業後41年前に、六代文枝に入門。「落語界に新風を」と三風の名をもらい、京都を中心に師匠譲りの創作落語を中心に活動。「ホントは三枝の名前がほしかった。師匠が〝こんなエェ名前があるで〟と見つけて頂いたのが慶枝でした」と説明。

襲名披露興行で「替り目」を演じる梅枝

 ともに1世紀にわたって名乗った噺家がいなかった大名跡の復活だけに、口上で六代文枝は「誰も知らない名前なので、自分でこの名前を大きくしてふさわしい噺家像を作ってもらいたい」と激励した。

 2人は同じ一門とはいえ、これまで活動域が異なるだけに長帳場の同一高座は初。梅枝は「僕は古典落語なので、2人でやることで化学反応を起こしたい」と意欲を見せれば、慶枝は「僕はあくまで創作落語にこだわりたい。いろいろお話しも聞けるし楽しみです」とエールを贈った。

襲名披露興行で「愛宕山」を演じる慶枝

 襲名ツアーは、10月まで大阪・兵庫を回り、11月は梅枝の地元・北海道など、12月は慶枝の地元・京都など、年が明け広島や福岡など西日本、千秋楽は3月20日の東京で締める。

(畑山 博史)